2003 Fiscal Year Annual Research Report
癌特異的遺伝子治療の開発,TRAIL遺伝子とhTERTプロモータに関する検討
Project/Area Number |
01J04327
|
Research Institution | Okayama University |
Principal Investigator |
香川 俊輔 岡山大学, 医学部・歯学部附属病院, 助手
|
Keywords | アデノウイルスベクター / TRAIL / Bax / p53 / 腫瘍特異的プロモータ / hTERT / 胃癌 / 制限増殖型ウイルス |
Research Abstract |
H13年4月より岡山大学大学院医歯学総合研究科に所属し、癌特異的遺伝子治療の開発をテーマに研究に取り組んでいる。15年度の研究内容であるが、癌細胞を特異的に殺傷するTRAILと非特異的にアポトーシス促進遺伝子baxの比較の結果、Baxの方が治療効果が高い結果となり、胃癌細胞株でのマウス担癌モデルでの研究成果をまとめ、9月ヨーロッパ癌学会(ECCO12)において発表した。さらに非増殖型アデノウイルスによる遺伝子治療の限界から発展の方向性として制限増殖型アデノウイルスによる遺伝子治療を研究している。hTERTのプロモータをウイルスの増殖制御に用いることで、腫瘍特異的増殖が可能となったウイルスを当教室で開発しているが、一つの試みとして、GFPというレポーター遺伝子を発現する非増殖型アデノウイルスと制限増殖型アデノウイルスベクターを同時にマウス胃癌腹膜播種モデルに投与したところ、腫瘍特異的にGFPの発現が確認され、微少転移の肉眼的検出の可能性と、その治療効果が肉眼的に視認できる可能性が示唆された。増殖型ウイルスは癌細胞に感染することで、ウイルスが増殖し腫瘍溶解をもたらすが、肺癌細胞株、および大腸癌細胞株でも腫瘍溶解効果が観察された。以上が当年度の活動であるが、3年間を通じての研究内容のまとめとしては、3点挙げられる。1、遺伝子間の比較検討ではBaxというアポトーシス促進遺伝子がもっとも効果が強く、治療遺伝子として有望であろうと思わる。2、癌特異的プロモータは遺伝子発現制御に用いることで、安全性が増すとは思われるが、現在は治療効果を増す方がまだ重要課題と思わる。3、治療効果を増すためには非増殖型ウイルスベクターを用いる戦略には限界があり、制限増殖型ウイルスをベクターに用いることが現在の可能性としては有望である。
|
Research Products
(3 results)
-
[Publications] 香川俊輔 他: "肺癌の遺伝子治療"病理と臨床. 21巻5号. 519-522 (2003)
-
[Publications] Kawashima T, Kagawa S 他: "Telomerase-specific replication-selective virotherapy for human cancer."Clinical Cancer Research. Vol 10. 285-292 (2004)
-
[Publications] Ohtani S, Kagawa S 他: "Quantitative analysis of p53-targeted gene expression and visualization of p53 transcriptional activity following intratumoral administration of adenoviral p53 in vivo."Molecular Cancer Therapeutics. Vol 3. 93-100 (2004)