2002 Fiscal Year Annual Research Report
バクテリアゲノムにおけるオーバーラッピング・ジーンの比較解析
Project/Area Number |
01J04542
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Research Institution | Keio University |
Principal Investigator |
福田 陽子 慶應義塾大学, 政策・メディア研究科, 特別研究員(DC1)
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Keywords | オーバーラッピング・ジーン / バクテリア / アンチセンス |
Research Abstract |
本研究ではこれまでに、オーバーラッピング・ジーンの解析を主にコンピュータを用いて行い、その進化的意義を配列情報から解明しようとしてきた。今年度は、これらの結果を実際の実験系において検証し、新たな知見を得るという試みに着手した。平成13年、山形県鶴岡市に慶応義塾大学先端生命科学研究所として、実験生物学の様々なアプローチを駆使する研究の場が作られた。この研究所において我々は、大腸菌ゲノムにコードされた、アンチセンスオーバーラッピング・ジーンの機能とその発現制御メカニズムの解明を目指して実験を行っている。オーバーラッピング・ジーンは、2つの遺伝子が配列情報を共有しているが、特に2本ある遺伝子鎖の両方でコードされたオーバーラッピング・ジーンの場合、互いの遺伝子が逆方向を向いて存在する事となる。このようなオーバーラッピング・ジーンは、その遺伝子発現制御に相互に関わっていると考えられる。大腸菌のゲノムにおけるこのようなアンチセンスオーバーラッピング・ジーンの中で、その機能は未知であるが、熱ショック遺伝子の制御に関わる可能性のある遺伝子を検出した。大腸菌は熱ショックにより特定の遺伝子群を発現させる機構を持っており、これらの複雑な制御は大腸菌のストレス応答の代表的な例として、多くの研究がなされている。この遺伝子の発現、熱誘導による発現の違い、また他の熱ショック遺伝子との相互作用等を調べる事により、オーバーラップ遺伝子の意義について、実験生物学的な考察を加えることが出来る。現在のところ、これら遺伝子群をRT-PCRによって増幅し、その発現挙動を比較している。 学会発表(ポスター) TIGR 14^<th> Genome Sequence and Analysis Conference(October, Boston) IABシンポジウム(9月鶴岡) 第24回日本分子生物学会年会(12月横浜)
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