2002 Fiscal Year Annual Research Report
解剖学的データに基づくヒト大脳皮質全体の発達のモデル構築とそのダイナミクスの解析
Project/Area Number |
01J04556
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Research Institution | Keio University |
Principal Investigator |
福田 竜太 慶應義塾大学, 政策・メディア研究科, 特別研究員(DC1)
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Keywords | ヒト大脳皮質 / リレーショナルデータベース / 神経情報科学 / コネクショニストモデル / 認知発達 |
Research Abstract |
昨年度末より、大脳基底核と前頭前野のネットワークモデルに着目し、その神経回路のコネクショニストモデルの実装作業に入っているが、この神経回路は、ヒト生後初期の認知発達において顕著な発達がみられるワーキングメモリの機能実現に欠かせないものであるということが近年の脳機能イメージング実験などにより明らかになってきている。上述の大脳基底核・前頭前野を中心としたヒトの発達初期におけるコネクショニストモデルの構築を進めた。Foldiak(1990)やBar-Gad et al.(2001)の解剖学的に忠実なモデルをVine Linux2.5上でMATLAB Neural Network Toolkitを利用して実装し、Hebb則、Anti-Hebb則、強化学習などの複数のアルゴリズムの組み合わせによるネットワークの振る舞いを分析した。Foldiak(1990)のモデルにおいては、線条体内の抑制結合の強度変化がネットワークの入力信号の特徴検出能力に大きな影響を与えることを確認し、Bar-Gad et al.(2001)のモデルにおいては、大脳皮質-線条体間結合が受ける強化学習信号が特徴検出能力に影響を与えると共に、大脳皮質→線条体→淡蒼球の回路における情報圧縮を促進していることを確認した。さらに、Bar-Gad et al.(2001)の実装していない視床と大脳皮質へのフィードバック回路を実装し、ワーキングメモリの機能を実現しうる神経回路モデルを実装した。実際の認知実験結果と回路の振る舞いを比較するために、遅延反応課題・go/no-go課題を入力信号とするコネクショニストモデルを実装中である。
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