2002 Fiscal Year Annual Research Report
Project/Area Number |
01J04569
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Research Institution | The University of Tokyo |
Principal Investigator |
野田 健夫 東京大学, 大学院・数理科学研究科, 特別研究員(PD)
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Keywords | 射影的アノソフ流 / 双接触構造 / 安定葉層 |
Research Abstract |
これまでの研究に引き続き、3次元多様体上の正則な(すなわち不安定葉層と安定葉層が滑らかな)射影的アノソフ流の分類に取り組んでいる。ザイフェルト多様体上の正則な射影的アノソフ流は安定葉層あるいは不安定葉層がコンパクト葉を持つならばT^2×I-モデルの有限和になるという結果を論文"Regular projectively Anosov flows with compact leaves"にまとめAnnales de l'Institut Fourierに投稿した。この主結果を証明するにあたり、ザイフェルト多様体上の余次元1葉層構造でトーラスに同相で圧縮不可能なコンパクト葉を持つものを分類している。これは論文の主題である射影的アノソフ流とは独立に葉層構造論の立場からも興味深い結果である。草稿を論文にまとめるにあたり証明中に必要ないくつかの命題を多様体がザイフェルトであることに依存しないより一般的な形に拡張した。 また、正則より弱い半正則、すなわち不安定葉層のみが滑らかな葉層構造であるような射影的アノソフ流の研究にも着手した。半正則であるが正則でないものとして不安定葉層がReeb成分を含む例を構成し、逆に不安定葉層がReeb成分を持つ場合の特徴づけを行った。 他方、正則性を仮定せずに一般のアノソフ流を考察しその力学系的性質についても調べた。結果として射影的アノソフ流は極小流にならないことを示した。 この他に、Bonattei-Langevinによるアノソフ流の例に対するバーコフ切断の構成に関する研究も行っている。 口頭発表としては2002年9月に龍谷大学で行われた研究集会「葉層構造の幾何学」で"Chain reccurent sets of projective flows"の題で射影的アノソフ流が極小流でないこととそれに関連する話題について説明した。
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