2003 Fiscal Year Annual Research Report
Project/Area Number |
01J04595
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Research Institution | The University of Tokyo |
Principal Investigator |
沼野 利佳 東京大学, 医科学研究所, 特別研究員(PD)
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Keywords | 概日リズム / Per1 / SCN / イメージング / TGマウス / リズム位相の同調 / 薬剤添加 / 極性 |
Research Abstract |
哺乳類の概日リズムの中枢を担うSCN内Per1の転写振動がリズム形成に重要であることが示され、我々は、Per1の転写領域にルシフェラーゼを連結させたPer1::lucTGマウスを作製し、Per1の転写振動を化学発光振動でモニターできる実験系を構築した。この系を用いて、SCNは自律性を持つのに対し、末梢組織はSCNからのシグナルによって特異的な位相のリズムを持つことが示された。さらに、SCNと末梢組織の概日リズム形成における違いを調べるために、高感度CCDカメラを用いて、発光量の高いTGラインのSCNスライスの部位別、また、単一細胞の発光を画像として検出できる実験系を構築した。 この実験系を用いて、顕微鏡下で、SCN初代培養細胞やスライス内の単一細胞の発光イメージをタイムラプスで観察した。培養3日目には、SCN初代培養細胞は細胞間で発光リズム位相がずれてくる。これは、SCNの構造自体に、細胞間のリズム位相を同調させるしくみが備わっていることを示す。SCNスライス内の局部のリズムを観察すると、SCN内で背外側部から腹内側の部位にかけて、リズム位相に最大で8時間のタイムラグがあること、また、Per1の発現振動の振幅は、背外側部が腹内側部に比べて大きいことがわかった。SCN内でリズムの極性が形成されていることは、概日リズムを形成する機能が各部位で異なること、各部位が統合してSCN全体として統一されたリズムを発振することを示す。 また、SCN培養スライスに対し、阻害剤の存在、非存在下での薬剤添加による刺激付加を行い、発光イメージリズムの変化を調べた。昼の時間帯に非光刺激情報をSCNに伝達するNPY添加により、SCNのリズム位相が1.5時間前進すること、さらに、TEAによって位相前進が抑制されたことから、非光刺激による、リズムの位相変化にSCN内のKチャネルが機能していることがわかった。
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Research Products
(1 results)
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[Publications] Herzog ED, Aton SJ, Numano R, Sakaki Y, Tei H: "Temporal precision in the mammalian circadian system : a reliable cloak from less reliable neurons."Journal of Biological Rhythms. 19. 35-46 (2004)