2002 Fiscal Year Annual Research Report
インフルエンザウイルスの宿主域拡大および病原性獲得のメカニズム解明に関する研究
Project/Area Number |
01J04596
|
Research Institution | The University of Tokyo |
Principal Investigator |
田中 恭子 (新矢 恭子) 東京大学, 医科学研究所, 特別研究員(PD)
|
Keywords | インフルエンザ / 宿主域 / 病原性獲得機構 / リバースジェネティクス法 |
Research Abstract |
親株由来の8遺伝子分節をクローニングし、サイクルシークエンス法による塩基配列決定を行った。各クローンの遺伝子配列は、direct sequence法により親株と同一の遺伝子配列であることが確認された。親株の8遺伝子分節より作成したクローン遺伝子を用い、リバースジェネティクス法による人工ウイルス(以下RG株)を作成した。作成ウイルスは、遺伝子配列およびその抗原性において、親株と同様のものであることが確認された。鶏卵での増殖性においても親株と同様のものであることを確認した。 鶏雛呼吸器で24代経代した株(以下24a株)の8遺伝子分節をクローニングし、サイクルシークエンス法による塩基配列決定を行った。各クローンの遺伝子配列は、direct sequence法により24a株と同一の遺伝子配列であることが確認された24a株の8遺伝子分節より作成したクローン遺伝子を用い、RG株を作成した。作成ウイルスは、遺伝子配列およびその抗原性において、24a株と同様のものであることが確認された。 親株および24a株のwild type(以下WT)および、RG株を用いて、鶏雛に対する病原性試験を行った。 現在、18a、24a1b、24a2b、24a3b、24a4bおよび24a5b株における各遺伝子分節のクローニング、各クローンのサイクルシークエンス法による塩基配列決定、およびdirect sequence法による元株遺伝子分節の塩基配列決定とクローン遺伝子との配列比較を進行中である。 トリ経代による強毒化水禽由来ウイルスを人工的に作成し、強毒化に至る一連のウイルス株を保有しているのが我々の研究チームの特色である。トリ由来株のヒトに対する病原性獲得機構は、ブタなどの哺乳類経由株によるヒトへの病原性獲得機構と異なる可能性が考えられるため、本研究が進むことにより、現在中国で勃発し、問題となっているトリ由来H5N1インフルエンザウイルスの哺乳類に対する病原性獲得機構が明らかになるものと期待される。 病原性獲得機構の解明に加え、野生水禽由来ウイルスのサーベイランスも引き続き行っている。
|
Research Products
(1 results)
-
[Publications] Shengqing Y, Shinya K, Otsuki K, Ito H, Ito T.: "Isolation of Myxoviruses from Migratory Waterfowls in San-in District, Western Japan in Winters of 1997-2000"J Vet Med Sci. 64. 1049-1052 (2002)