2002 Fiscal Year Annual Research Report
NO情報伝達系による卵胞発育・閉鎖の調節機構及びNO合成酵素の活性調節機構の分子生物学的解明
Project/Area Number |
01J04652
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Research Institution | The University of Tokyo |
Principal Investigator |
松見 泰宇 東京大学, 医学部附属病院, 特別研究員(PD)
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Keywords | 一酸化窒素 / 一酸化窒素合成酵素 / 卵胞発育 / 卵胞閉鎖 / アポトーシス / 顆粒膜細胞 / 卵巣 |
Research Abstract |
[目的]顆粒膜細胞(GC)のアポトーシス誘導過程にFas-Fasリガンドシステムが関与すること,およびNOが卵胞発育・閉鎖の安定化因子として作用していることを我々はこれまで報告してきた.今回は,この二つのシグナル伝達系間のクロストークの可能性について検討した.[方法](1)Wistar系幼若雌ラット顆粒膜細胞培養系において,interferon γを添加しFasを強発現させた後,可溶性リコンビナントFasリガンド(100ng/ml)添加して,MTT法,Hoechst染色法,フローサイトメトリーによりアポトーシス誘導効果を解析した.さらに,アポトーシス実行機構としてのcaspase-3活性をWestern blot法により解析した.また,caspase-3 inhibitorを添加しMTT法によりGC生存率を測定した.(2)NO供与剤SNAP(0.05〜0.5mM)をFasリガンドと同時に添加し,アポトーシス陽性率およびcaspase-3活性への影響を解析した.[成績](1)Fasリガンド添加により,GCにアポトーシスが誘導され,caspase-3活性が亢進した.また,caspase-3 inhibitor添加により,GCのアポトーシス陽性率は93%抑制された.(2)SNAPとFasリガンドの同時添加により,GCのアポトーシス陽性率は93%抑制され,caspase-3活性も有意に低下した.[結論]NO情報伝達系は,Fas-Fasリガンドシステムにより誘導されるcaspaseカスケードの活性化を抑制し,GCのアポトーシスを阻止することが示唆された.
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