2003 Fiscal Year Annual Research Report
NO情報伝達系による卵胞発育・閉鎖の調節機構及びNO合成酵素の活性調節機構の分子生物的解明
Project/Area Number |
01J04652
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Research Institution | The University of Tokyo |
Principal Investigator |
松見 泰宇 東京大学, 医学部附属病院, 特別研究員(PD)
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Keywords | 一酸化窒素 / 一酸化窒素合成酵素 / 卵胞発育 / 卵巣閉鎖 / アポトーシス / 顆粒膜細胞 / 卵巣 |
Research Abstract |
卵巣顆粒膜細胞に対するGnRH antagonist (GnRHant)の直接作用 【目的】我々は,下垂体摘除した未熟ラットにおいてGnRHantの投与により卵胞発育がFSH投与と同程度に促進されることを報告してきた.今回,成熟顆粒膜細胞の増殖に対するGnRHantの直接効果を未熟顆粒膜細胞との対比で検討した.【方法】(1)未熟顆粒膜細胞は,24日齢Wistar系幼若雌ラットの卵胞より採取した.成熟顆粒膜細胞は,幼若ラットにpregnant mare serum gonadotropin 10IUを皮下注射し48時間後に採取した.培養細胞にGnRHantとしてCetrorelix 10μMを添加し,24時間後,BrdU取り込み法によりDNA合成能を測定した.(2)Flow cytometryにより細胞周期分布を解析した.(3)癌抑制蛋白および細胞周期制御因子の蛋白発現量をWestern blot法により検討した.【成績】(1)Cetrorelix添加により,未熟顆粒膜細胞のDNA合成能に変化はなかったが,成熟顆粒膜細胞では17%抑制された.以下,成熟顆粒膜細胞において,(2)G2/M期は8.3%増加した.(3)cyclin Bの蛋白発現量は46.3%減少したが,p53,p21,phospho-cdc2(Tyr15のリン酸化による不活型cdc2)の蛋白発現量は各々28.3%,43.8%,44.6%増加し,cdc2の蛋白発現量に変化はなかった.【結論】GnRHantによる直接的な未熟顆粒膜細胞の増殖促進効果ならびに成熟顆粒膜細胞の増殖抑制効果が認められた.後者のメカニズムのひとつとして,p53の活性を増強しcdc2を不活化することより細胞周期のG2/M期停止をもたらすことが示唆された.
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