2002 Fiscal Year Annual Research Report
テレスコープアレイによる10^<20>eV以上の宇宙線の起源の探索
Project/Area Number |
01J04674
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Research Institution | The University of Tokyo |
Principal Investigator |
櫻井 信之 東京大学, 宇宙線研究所, 特別研究員(PD)
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Keywords | 宇宙線物理学 / 最高エネルギー / テレスコープアレイ |
Research Abstract |
本年度はテレスコープアレイ計画に使用する光電子増倍管の絶対光量較正を行うための装置を開発した。 具体的には、縦横20cm×20cm、長さ約2mの暗箱の中央部分に窓を開けそこに窒素レーザー光を通しその散乱光を両端に設置した光電子増倍管で見るというものである。 このときレーザー光そのものの光量はレーザー発射装置の正面に置いたエネルギーメータで測定することができる。また、箱内には純粋窒素ガスを詰めておくので、散乱の確率もレーリー散乱の理論から正確に計算できる。さらに光電子増倍管の立体角も幾何学的に計算できることから、その結果光電子増倍管に入ってくる光量は非常に正確に計算できる。この装置を用いて光電子増倍管の量子効率および収集効率を測定し、PMTの製造メーカの測定結果と比較してみたところ非常によく一致し、メーカと全く独立な方法を用いて、量子効率および収集効率が我々自身の手で行えることを証明した。 また、この他に大幅に設計変更がなされたテレスコープアレイ実験の大気蛍光検出器の性能をシミュレーションによって求めた。これまで方位角についてば360度すべてを見ることになっていたが、地上のシンチレータ検出器群との同時観測を実験の主眼に持ってきた結果、蛍光検出器の観測の方位角については120度に制限することになった。 そのためシャワー検出体積が大幅に変わり、角度分解能や期待イベント数に対する影響が懸念された。そこでシミュレーションをもちいてこれらの値を見積もってみたところ、角度分解能は1.0度、期待イベント数も大気蛍光検出器だけで10^<19>eV以上で300イベント以上あることがわかった。これは高精度な観測を行うのに十分な数字である。
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