2002 Fiscal Year Annual Research Report
Project/Area Number |
01J04677
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Research Institution | The University of Tokyo |
Principal Investigator |
窪田 直人 東京大学, 医学部附属病院, 特別研究員(PD)
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Keywords | PPARt / インスリン抵抗性 / 2型糖尿病 / 脂肪組織 / アディポネクチン |
Research Abstract |
昨年度の引き続き肥満・インスリン抵抗性・動脈硬化の分子機構の解明を行っている。昨年、脂肪細胞のほとんど存在しない脂肪萎縮の状態と脂肪細胞の肥大した状態がともにインスリン抵抗性を惹起する一つのメカニズムとして、脂肪組織から分泌されるインスリン感受性ホルモンの存在を仮定し、アディポネクチンがインスリン感受性ホルモンとして作用していることを明らかにした。本年はさらにアディポネクチンの個体レベルにおける生理的な役割を明らかにする目的で、アディポネクチン欠損マウスを作製しその表現型を解析した。アディポネクチン欠損マウスは予想外なことに、体重に著変を認めなかった。インスリン負荷試験を行ったところ、外来性のインスリンに対する血糖値の降下の程度がアディポネクチン欠損マウスにおいて野生型に比し有意に低く、アディポネクチン欠損マウスはインスリン抵抗性有していることが明らかとなった。さらにアディポネクチンがin vitro培養細胞の系で直接的に抗動脈硬化因子として作用しうることをふまえ、このアディポネクチンホモ欠損マウスを用いて、cuff injuryに対する内膜肥厚を評価する系で、アディポネクチンのin vivoでの抗動脈硬化因子としての機能を解析した。このアディポネクチンホモ欠損マウスでは野生型マウスと比較してcuff injuryに対して、内膜肥厚が2倍程度有意に増加していた。血管径や中膜には有意な差を認めず、内膜(I)/中膜(M)比も約2倍程度に有意に増加しており、アディポネクチンが生理的にin vivoで抗動脈硬化因子として作用していることが示された。以上の結果からアディポネクチンはin vivoにおいてインスリン感受性作用、抗動脈硬化作用を有していることが明らかとなった。これらの研究の一部はJournal of Biological Chemistry誌に発表した。
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Research Products
(1 results)