2003 Fiscal Year Annual Research Report
Project/Area Number |
01J04741
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Research Institution | Keio University |
Principal Investigator |
村井 政子 慶應義塾大学, 医学部, 助手
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Keywords | GVHD / CD8 / DC / Peyer's patch / CTL / CCR5-CCL5 / α4β7-MAdCAM-1 / Peyer's patch-less mice |
Research Abstract |
急性移植片対宿主病(GVHD)は、主にドナー由来細胞障害性T細胞(CTL)により生じるとされているが、どこでCTLが分化するかわかっていなかった。私たちは、GFP陽性T細胞をドナーとして用いた無放射線照射下マウス急性GVHDモデル(B6-BDF1モデル)で、ホスト体内でのドナー細胞の追跡調査を施行したところ、驚くべきことに二次リンパ臓器である脾臓やリンパ節よりも早期に腸管粘膜に存在するパイエル板にドナーT細胞が流入し、その場で活性化され、CTLへと分化することがわかった。そしてこのパイエル板でのドナーT細胞のホスト抗原に対するアロ免疫応答がGVHDの発症の鍵を握っていることがわかった。ドナーT細胞のパイエル板への流入を阻止した場合、つまり1)腸管粘膜固有層に存在するリンパ球が主に発現しているケモカインレセプターであるCCR5遺伝子をドナーT細胞から欠損させた場合、または2)腸管に特異的に発現している接着分子であるMAdCAM-1とそのレセプターであるインテグリンα4β7との相互作用をホストにMAdCAM-1抗体を投与することにて阻止した場合、また3)パイエル板形成に必須である胎生期14日目のIL-7とIL-7Rの相互作用を阻止してパイエル板のみが欠損しているマウスを作製し、そのマウスをホストとして用いた場合において、GVHDの発症を阻止することができた。この効果は放射線照射したマウスモデルにおいても、またMHCクラスIのみが異なる急性GVHDマウスモデルでも同様の結果が得られた。したがってパイエル板でのドナー細胞のCTLへの分化を抑制することが今後のGVHDの治療方針になりうると考えられた。
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