2002 Fiscal Year Annual Research Report
Project/Area Number |
01J04809
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Research Institution | The University of Tokyo |
Principal Investigator |
山中 健太郎 東京大学, 大学院・教育学研究科, 特別研究員(PD)
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Keywords | 反応遂行 / 反応抑制 / 意志決定 / 経頭蓋磁気刺激 / 事象関連電位 / 独立成分分析 |
Research Abstract |
随意運動の発現の制御においては、適切でないと判断した場合に準備した動作を即座に抑制できることが重要な要素のひとつである。この脳内過程を調べるためには、ある刺激に対して反応する、しないを決定する課題(以下、Go/NoGo課題)が一般的に用いられている。平成13年度において、逆向きの運動出力を要求する2種類のGo/NoGo課題遂行中に、反応する手の反対側一次運動野を経頭蓋磁気刺激(transcranial magnetic stimulation : TMS)して生じる反応(運動誘発電位motor evoked potential : MEP)から運動出力指令の下行経路における興奮性の時間的変容を評価し、脳内にはする、しないの意志決定と運動出力の促通・抑制に関与する別々のメカニズムが存在することを示した。平成14年度においては、同じGo/NoGo課題遂行中に記録した事象関連電位(event-related potential : ERP)を、独立成分分析という統計的手法を用いて複数の時間的に独立で空間的に固定された成分に分解することを試みた。その結果、最初に後頭-側頭皮質に視覚情報処理に関連すると考えられる成分がみられ、その後Go試行では動作の反対側の感覚-運動皮質に動作の出力指令と感覚フィードバックに関連すると考えられる成分が、NoGo試行ではおそらく内側前頭皮質に動作の抑制に関連すると考えられる成分が確認された。さらにこれらの成分がみられる間の期間に、小さいが明瞭なGo試行とNoGo試行に共通の成分が外側前頭皮質にみられた。この成分は視覚情報処理と実際の動作の遂行あるいは抑制の間に位置する脳内の情報処理過程を反映するものと考えられ、従来の生理学的知見と照らし合わせても妥当なものであった。すなわち、ERPを独立成分分析を用いて分解する手法により、脳内の情報処理過程を高い時間解像度で調べることが可能であることが示唆された。
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Research Products
(1 results)