2002 Fiscal Year Annual Research Report
二酸化炭素の強レーザー場による化学反応制御の理論研究
Project/Area Number |
01J04814
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Research Institution | The University of Tokyo |
Principal Investigator |
樋山 みやび 東京大学, 大学院・総合文化研究科, 特別研究員(PD)
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Keywords | 強光子場 / 二酸化炭素 / リドベルグ状態 / 量子欠損 / ポテンシャルエネルギー曲線 |
Research Abstract |
レーザー場中の分子の性質を調べるための研究と、二酸化炭素のR行列計算の研究を並行して行った。まず、レーザー場中の分子の研究についてはまだ確実な方法がないため、独自にモデルをつくり、簡単な二原子分子を例にとり研究を行った。強光子場中の分子のRydberg状態の変化を調べるために、フロケ理論と量子欠損理論を組み合わせたモデルを作り、レーザー強度と自動イオン化スペクトルの変化の関係を調べた。その結果、スペクトルの形状を支配するパラメータが存在し、ある境界値を超えるとスペクトルの形状が大きく変化することがわかった。 二酸化炭素のポテンシャル等の計算については、平成13年度の研究に引き続き、直線形の場合についての計算を行った。実験で得られているデータにあわせてCO_2分子の対称性が^1Σ_u^+、^3Σ_u^-、^1Π_uの場合についてそれぞれ、イオンコアの基底状態^2Π_g(X)に収れんするRydberg状態の量子欠損とポテンシャル曲線を計算した。CO_2^+の電子状態は、実験的によく調べられているX^2Π_g、A^2Π_u、B^2Σ_u^+、およびC^2Σ_g^+状態を考慮した。10電子を固定して、残りの11電子を10個の分子軌道に入れる電子配置を考慮したCAS CI計算を行った。次に、ガウス関数で展開された連続状態を記述する基底関数を用いて、連続状態に一電子入る電子配置を考慮し、中性の電子状態計算を行った。CO_2^+の平衡核配置での値は、^1Σ_g^+と^3Σ_u^-の場合は実験値に近い値になるが、^1Σ_u^+と^1Π_uの場合は実験値との差が大きくなることがわかった。また、^1Σ_u^+、^3Σ_u^-、および^1Π_uの場合は量子欠損のエネルギー依存性は小さいが、^1Σ_g^+の場合の量子欠損は、主量子数の高いところでエネルギーに強く依存することがわかった。 2002年7月29日から8月9日までロンドン大学、2002年10月18日から2003年1月17日までイギリスのオックスフォード大学において研究に従事した。
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