2003 Fiscal Year Annual Research Report
ドイツ行政法・環境法を対象とした多元化傾向における統合の規範的整序
Project/Area Number |
01J04851
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Research Institution | The University of Tokyo |
Principal Investigator |
島村 健 東京大学, 大学院・法学政治学研究科, 特別研究員(PD)
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Keywords | 環境責任 / 環境法 / 原因者負担 / 法解釈 |
Research Abstract |
ドイツ・日本の制度を素材に環境責任の法的分析の作業を続けている。 昨年度との違いは、環境責任の分配を「法的に」論じることの意味を、自己言及的に扱う作業を、具体的な法素材の分析に前置することとした点にある。近時、環境責任をめぐる新たな立法が次々と行われている。その際に提示される、目的達成(排出削減、廃棄物削減、早期かつ実効的な汚染除去等)のための、いわば道具主義的な環境責任の分配論は、それ相応の合理性があると考えられる。他方で、法は、そのような、資力、除去能力、あるいは、統計や価格弾力性等を、責任分配の根拠・指標にする議論とどのような関係に立つべきであろうか。これらは、果たして法的な議論と呼べるのだろうか。伝統的に法が果たしてきた役割が、このような社会工学的な発想の前で、あるいはそれに対抗して、存続しうるのかを検討している。 方法論的には、いわゆるヘルノメイティクをめぐるガダマー、ドゥオーキン、及びドイツの解釈学方法論のこれまでの議論を再省し、立法論の場面で、「法的に」素材を扱うということの意味を問い直す。また、政策目的から直接ではなく、法概念を媒介させて、権利ないし義務・責任を構成し、限界付けるという見方によって、環境税、拡大生産者責任、蓄積性汚染の除去等、個別の素材を扱うことがどこまで可能か、ドイツ及び日本の議論を分析している。
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