2003 Fiscal Year Annual Research Report
Project/Area Number |
01J04898
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Research Institution | The University of Tokyo |
Principal Investigator |
松嵜 直幸 東京大学, 大学院・人文社会系研究科, 特別研究員(PD)
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Keywords | 表情知覚 / 情動 / 点光刺激 / 形知覚 / 仮現運動 |
Research Abstract |
無意識的な表情知覚について検討するために、形の明瞭さと刺激の提示時間を操作した実験を行った。これまでの研究では、表情の知覚に利用される情報として眼、口などの各部分の形が取り上げられてきた。しかしながら、明確な輪郭が存在する場合、しない場合に比べて表情判断が容易になり表情知覚は意識的になるため、無意識的な表情知覚を調べることができない。そこで、ドット密度によって顔の眉、眼、口の各部分を表現した輪郭の分かりにくい刺激を作成し、さらに提示時間を短くすることで意識的な表情知覚が成立しないようにした。また、無表情刺激と怒りあるいは喜びの刺激を継時提示することで、無意識的な表情知覚における運動情報の役割について検討した。その結果、怒りよりも喜びの方が検出されやすいという結果が得られた。 また、顔面上にランダムに貼付けた点だけを提示した場合の表情判断について調べたところ、点が静止している状態では表情は知覚されなかったが、点が動く条件では点の個数が多くなると表情知覚が可能となった。そこで、顔を倒立させた場合についても検討した。顔の形だけを倒立させる条件、表情に伴う動きだけを倒立させた条件、両方を倒立させた条件で表情判断成績を調べたところ、点の個数が少ない場合、顔の形が倒立している方が正立している場合よりも成績がよいという「逆の倒立効果」が得られた。次に、被験者に顔の形、眉や口が画面上のどこに提示されるかを覚えさせ、イメージさせながら課題を行わせたところ、前述の逆の倒立効果が消失した。このことから、点の個数が少なく顔が正立している条件では、眉や口の位置がはっきり分からないために、少ない点から歪んだ顔を知覚したために、例えばほほ上の点の動きを眼の動きというように間違って解釈したために、顔が倒立している場合よりも成績が低下したと考えられた。
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Research Products
(1 results)