2002 Fiscal Year Annual Research Report
セラピー文化の展開に関する社会学的研究:自己啓発セミナーとセルフヘルプ・センター
Project/Area Number |
01J04900
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Research Institution | The University of Tokyo |
Principal Investigator |
小池 靖 東京大学, 大学院・人文社会系研究科, 特別研究員(PD)
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Keywords | 心理学ブーム / カウンセリング / 心理療法 / セラピー文化 / 霊性 / スピリチュアリティ / 自助グループ / 自己啓発セミナー |
Research Abstract |
表題のテーマに基づき、心理学ブームやセラピー・カウンセリング文化について、国内外で調査、研究発表をおこなった。アダルトチルドレン、アディクション、共依存などの問題を扱う自助グループは、自分のネガティブな生育歴を語って自己成長しようとするムーブメントである。「弱者」による「クレーム」の運動は、いわば「被害者告白の論理」を基調としている。その文化的・社会学的意義について多面的に考察した。また、自己啓発セミナーは、心理学ブームのひとつのあらわれでありながら、その勧誘手法や世間との緊張関係によって、宗教の代替物としての機能を持っている。また、近年のセミナー業界の縮小と、職場に浸透している実態を調査した。調査は日米に及び、特に東京地区の自助グループおよび自助系団体についての資料収集、自己啓発セミナー経験者・元社員へのインタビュー、そして米国での心理学ブームの視察調査をおこない、内外の研究者とも交流・情報交換の機会を持った。研究成果は、日本社会学会(題目「セルフヘルプ、スピリチュアリティ、被害者告白の論理-セラピー文化は宗教社会学の対象になりうるか-」)、日本宗教学会(題目「文化の秘教的構造について」)で発表したほか、2つの論文として刊行された(裏面参照)。これらを踏まえ、諸成果を統合した「魂のマーケティング」という題名の500枚以上の論文を、目下継続執筆中である。
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Research Products
(2 results)
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[Publications] 小池 靖: "現代宗教社会学の論争をめぐるノート-霊性・合理的選択理論・世俗化"現代宗教2002(東京堂出版). 302-319 (2002)
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[Publications] 小池 靖: "「文化としてのアダルトチルドレン・アディクション・共依存」島薗進, 田邊信太郎編『つながりの中の癒し-セラピー文化の展開-』"専修大学出版(所収論文). 312 (2002)