2002 Fiscal Year Annual Research Report
Project/Area Number |
01J05006
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Research Institution | The University of Tokyo |
Principal Investigator |
林 光 東京大学, 大学院・総合文化研究科, 特別研究員(PD)
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Keywords | 紛争 / 生存分析 / 国連平和維持活動 / 介入 / ゲーム理論 |
Research Abstract |
本研究は国際社会による紛争への関与の理論化とその実証を目的とする.二年目である本年は「いかに関与すべきか」「なぜ関与するのか」という二つの問題のうち,前半では後者,後半では前者に焦点を当てて以下の分析を行なった. まず,「なぜ国際社会はただ乗りの誘因に逆らってまでも紛争に対し利他的に関与するのか」に関し,前年度に完成された分野と時期を拡充した大規模データセットに基づいて「国際平和への貢献を促す全地球的な規範の伝播」に求めるコンストラクティビズム的仮説の統計的検証を行った.これは規範の研究と生存分析を組み合わせている点で意義深い.この研究成果は日本公共選択学会の学会誌に掲載された. 次いで「国際社会はいかなる条件の下で紛争に関与すべきか」に関し,a)国際世論の圧力,b)紛争の強度,等の変数の組み合わせで場合分けした上で,いくつかの介入手法のうちどれが最適となるかをゲーム理論モデルで示し,モデルから導かれる逆U字型関係仮説を非線形回帰分析により統計的に検証した.前年度の文献調査から得られた情報に基づき,今年度一杯で関連文献をほぼすべて購入・収集することができた.これにより先行研究を整理し事例をさまざまな角度から検討する上で大幅な進展があった.すなわち,戦争・交渉・介入という三つの大きな紛争解決枠組が紛争原の三つの合理主義的説明と対応していることを示すことができ,その上で,介入の正当性に焦点を当てる人道的介入論など規範的なアプローチ,そして介入の効率性に焦点を当てる実証的なアプローチの双方についての研究を幅広く押さえ知識を深めることができた.また世界で進行中のさまざまな紛争についての関連文献も幅広く集めることができたため,その情報に基づいて事例分析を豊かにすることが可能となった.
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Research Products
(1 results)