2002 Fiscal Year Annual Research Report
Project/Area Number |
01J05050
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Research Institution | The University of Tokyo |
Principal Investigator |
大島 永康 東京大学, 大学院・総合文化研究科, 特別研究員(PD)
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Keywords | 多価イオン / 陽電子冷却 / 電子冷却 / 非中性プラズマ / トラップ |
Research Abstract |
多価イオンの陽電子冷却実現のためには、陽電子を多電極線形トラップ(Multi-Ring-Electrode-Trap)に蓄積する必要があり、現在、陽電子蓄積方法についての研究を行っている。陽電子の蓄積は、陽電子ピームをトラップ内で電子プラズマと散乱させエネルギーを失わせる(減速させる)ことにより達成する。この際必要となる電子プラズマは、密度10^<11>/cm^3程度(電子総数〜10^<10>個、プラズマ形状は、全長〜35cm、直径〜0.1cm回転楕円体)の高密度非中性プラズマである。 昨年度、上記した電子プラズマ(世界最高密度)の形成に成功し、今年度は、その空間的時間的性質(プラズマの構成粒子数・形状・温度・密度・粒子数命等・径方向拡散速度)を系統的に調査した。その結果、電子プラズマは、形成後おおよそ100秒の間、陽電子の減速に使用可能であることが明らかになった。 陽電子ピーム(毎秒約7x10^5個)を50秒間、電子プラズマを保持させた蓄積装置内に打ち込み、陽電子の超高真空中蓄積実験を行った。陽電子を3.6x10^5個蓄積することに成功し、電子プラズマ内で電子散乱を通してエネルギーを失った陽電子が、蓄積装置内に捕獲されることが実験的に証明された。陽電子の蓄積効率は、入射陽電子数に対して約1%であり、使用している陽電子線源強度(^<22>Na22.2mCi)にたいする陽電子捕獲速度は、約270(e+/s/mCi)となる。この陽電子捕獲速度は、これまで他のグループにより達成されていた超高真空中への陽電子捕獲速度11(e+/s/mCi)を25倍上回る値である。 実験結果の解析結果から、陽電子蓄積効率のさらなる増加が見込まれており、それを実証するために必要となる実験装置の改良に取り組んでいる。
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Research Products
(1 results)