2003 Fiscal Year Annual Research Report
Project/Area Number |
01J05050
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Research Institution | The University of Tokyo |
Principal Investigator |
大島 永康 東京大学, 大学院・総合文化研究科, 特別研究員(PD)
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Keywords | 多価イオン / 陽電子冷却 / 電子冷却 / 非中性プラズマ / トラップ |
Research Abstract |
電子プラズマ減速法という陽電子蓄積法の研究を行っている。この手法は、陽電子の蓄積を、次のような手順で行う。まず、密度10^<11>/cm^3程度(電子総数〜10^<10>個、プラズマ形状は、全長〜35cm、直径〜0.1cmの柱状)の高密度非中性電子プラズマを多電極線形トラップ(Multi-Ring-Electrode-Trap)内に閉じこめる。次に、陽電子ビームをトラップ内に打ち込み、電子プラズマと散乱させエネルギーを失わせる(減速させる)ことによりトラップ内に捕獲し蓄積する。達成した超高真空中への陽電子蓄積速度は、使用している陽電子線源強度(^<22>Na 22mCi)で規格化すると、約360(e+/s/mCi)となった。この陽電子捕獲速度は、これまで他のグループにより達成されていた超高真空中への陽電子捕獲速度11(e+/s/mCi)を一桁半上回る値である。 陽電子の電子プラズマ中でのクーロン散乱によるエネルギー損失を考慮して、陽電子の蓄積効率を説明する計算モデルを考案した。実験結果は、この計算モデルにより、再現よく説明できることが明らかとなり、陽電子蓄積のメカニズムの定量的な理解に到達した。 電子プラズマは、径方向の拡散により、形成後おおよそ100秒の間しか、陽電子の減速に使用することはできないが、新しい電子プラズマを100秒ごとに形成し直すことにより、陽電子の蓄積を継続させる技術を開発した。現在では、陽電子の実行蓄積時間を1000秒以上にまで長くすることが可能となった。
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Research Products
(1 results)