2002 Fiscal Year Annual Research Report
時計細胞およびDT40細胞を用いた光位相同調メカニズムの解析
Project/Area Number |
01J05094
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Research Institution | The University of Tokyo |
Principal Investigator |
仲村 厚志 東京大学, 大学院・理学系研究科, 特別研究員(PD)
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Keywords | 視細胞 / ロドプシン / トランスデューシン / G11 / ラフト / 概日時計 / DT40 |
Research Abstract |
交付申請書に記載した研究実施計画に沿って研究を行い、下記の成果を得た。 (1)脊椎動物の桿体視細胞において、光によって活性化されたロドプシンはGタンパク質トランスデューシンを活性化することにより、視興奮を引き起こす。一方で、ウシの桿体外節にはGqタイプのGタンパク質G11が存在するが、その生理的役割は不明であった。昨年度の本研究では、精製タンパク質を用いた再構成実験により、ロドプシンがG11を光依存的に活性化することを見出し、G11が光情報の伝達に寄与している可能性を示した。今年度は、G11を介した光情報伝達経路の解析をさらに進めるために、桿体外節のラフトに着目した。先行研究により、トランスデューシンは活性化に伴い、外節のラフト画分に移行するが、GTPの添加によりラフト画分から消失することが知られている。G11のラフトにおける挙動を調べたところ、トランスデューシンの場合と同様に、光依存的にラフト画分に移行し、GTPの添加にともないラフト画分から消失した。近年、ラフトは情報伝達の場として注目を集めているが、本研究結果は、視細胞におけるG11による光情報伝達が、ラフトを介して行われていることを示唆するものである。 (2)ある種の細胞株では、高濃度の血清刺激を与えた際に時計遺伝子の発現リズムが現れると報告されている。本研究では、遺伝子のターゲティングが可能なDT40細胞を概日時計研究に用いる可能性を探るために、時計遺伝子の発現リズムを駆動させる培養条件や血清刺激の条件を検討した。その結果、血清刺激により、時計遺伝子Per2の発現量の一過的な上昇を引き起こすことに成功したが、時計遺伝子の発現リズムを生み出すには至っていない。この点は今後の課題として残されている。
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