2003 Fiscal Year Annual Research Report
コロイド粒子系における自己組織化現象の解明とその応用に関する研究
Project/Area Number |
01J05182
|
Research Institution | The University of Tokyo |
Principal Investigator |
森本 久雄 東京大学, 大学院・工学系研究科, 特別研究員(PD)
|
Keywords | コロイド / 微粒子 / 自己組織化現象 / 複雑液体 |
Research Abstract |
本研究の目的は,液体中に分散された数nmからサブミクロンサイズの微粒子系(コロイド粒子系)において発現する自己組織化現象を理論的・実験的に明らかにし,その工学的応用について検討することである.今年度得られた研究成果を以下にまとめる. 1.理論的解析 平衡・非平衡ブラウン動力学法により強磁性コロイド粒子のクラスター構造を解析した.無磁場における強磁性粒子は,互いに双極子モーメントの向きに結合して鎖状クラスターを形成するが,それら鎖状クラスターは屈曲したりクラスター内の部分同士が相互作用して,リング構造などの多様な構造を示す.本研究では,この鎖状クラスターを強磁性粒子を連結したフレキシブルチェーンでモデル化し,その平衡構造を詳細に解析した.粒子間相互作用がそれほど強くない場合には主にチェーンおよびリング構造が形成される.本解析では,両者の生成比を定量的に評価した.粒子間相互作用が強くまたクラスター構成粒子数が多くなると,チェーンが巻きついたスパイラル構造など複雑な構造が形成される.本解析では,このような複雑構造の形成についても議論した. 2.実験による解析 交流磁場中における強磁性コロイド粒子クラスター形成の顕微鏡観察実験を行った.強磁性粒子は直流磁場中において磁場方向に鎖状クラスターを形成するが,交流磁場を印加するとより太い鎖状クラスターが形成された.このクラスター形成は,交流磁場中における強磁性粒子の回転運動と密接に関係していると考えられることから,今後ブラウン動力学法とあわせた詳細な解析が必要である.また,直流磁場中における常磁性粒子クラスター形成の光散乱実験を行い,磁場中のクラスターサイズ分布が得られた.今後は本実験系を交流および回転磁場中での観察が可能となるよう発展させていく予定である. 本年度は,熱力学および複雑系のスローダイナミックスの国際会議等に参加し,成果発表を行った.
|
Research Products
(1 results)