2002 Fiscal Year Annual Research Report
Project/Area Number |
01J05207
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Research Institution | The University of Tokyo |
Principal Investigator |
佐藤 康則 東京大学, 大学院・理学系研究科, 特別研究員(PD)
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Keywords | 銀河形成 / 銀河進化 / 赤外線 / X線 / サブミリ波 / 電波 / 星の質量 / 大規模構造 |
Research Abstract |
中間赤外線(6.7ミクロン)の観測により検出された天体の性質を探究した。まず、手許の可視、近赤外のデータを用いて6.7ミクロン天体の対応天体を決定した。これらの波長域では天体の密度が極めて大きいため、統計的手法を導入して対応天体を決めた。さらに、X線、サブミリ波、電波領域で公開されている検出天体のデータから全てに6.7ミクロンでの対応天体が見出された。こうして出揃った他波長データを星・ダスト系の銀河モデルであるGRASILを用いて評価した。可視、近赤外のカラーでは晩期型銀河、低赤方偏移および高赤方偏移での早期型銀河の3種に分類でき、それらの比は大まかに言って1:1:2であった。さらに一歩進め、それらの赤方偏移を求めた。ある程度分光的に赤方偏移が決まっているものもあったが、残りは測光学的に決めた。カラーの議論と同じく、かなりの頻度で高赤方偏移のものが見つかった。この段階で6.7ミクロン光度が高赤方偏移の近赤外光度であることに着目した。銀河の近赤外光度は銀河中に含まれる星の質量と強い相関があるのである。この相関から6.7ミクロン銀河の星の質量を求めた。結果は高赤方偏移に至るまで近傍の大質量銀河と同程度のものが存在することを示していた。さらにそれらの空間密度を考慮してやると、大質量銀河に限れば既に遠方において近傍と同程度の星質量密度を与えることがわかった。これらの知見については、国内学会で報告すると共に論文にまとめた(現在、審査中)。この6.7ミクロン銀河の性質は次世代のスペース赤外線観測装置であるSIRTF及びASTRO-Fでの観測戦略に大きな影響を与える。その一例として、高赤方偏移での構造の探査がある。早期型銀河は高密度構造と強い相関を持つため、高赤方偏移の早期型銀河を選択的に検出する中間赤外線観測で遠方での構造を探るのである。これはチリでの研究会で報告した。
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Research Products
(6 results)
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[Publications] Y.Sato et al.: "Mid-infrared identification of faint submillimeter sources"Astrophysical Journal. 578. L23-L26 (2002)
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[Publications] Y.Sato: "Faint Mid-infrared Galaxies as Tracks of High Redshift Structures"Structure Evolution and Cosmology.
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[Publications] 佐藤康則: "SIRTFの動向"新世紀における銀河宇宙観測の方向:その3.
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[Publications] 佐藤康則: "6.7ミクロン銀河の本質"新世紀における銀河宇宙観測の方向:その3.
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[Publications] Y.Sato et al.: "Identification of SCUBA sources with ISOCAM"EAS Publications Series. 4. 187-191 (2002)
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[Publications] Y.Sato et al.: "A deep ISOCAM survey in the SSA13"EAS Publications Series. 4. 269-273 (2002)