2002 Fiscal Year Annual Research Report
現在進行形の島弧-大陸衝突境界における広域変成帯上昇のテクトニクス
Project/Area Number |
01J05232
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Research Institution | Tokyo Institute of Technology |
Principal Investigator |
眞砂 英樹 東京工業大学, 大学院・理工学研究科, 特別研究員(DC2)
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Keywords | 衝突型造山帯 / 変成作用 / 変成相系列 / PTパス / 後退変成作用 |
Research Abstract |
本研究は,衝突型造山運動に伴う変成作用に関して,従来の変成岩岩石学が先験的に認めてきた仮定を検証し,そのいくつかが間違いであることを明らかにした. はじめに,メタベイサイトを用いて変成分帯を行い,変成相系列,変成温度圧力条件,あるいは変成反応等の変成帯の基本的な岩石学的性質を明らかにした.その結果得られた変成相系列は,700℃,13kbar付近で屈曲する下に凸の曲線を描く.この結果は,従来衝突型変成帯の特徴とされてきた中圧型変成相系列とは明らかに異なるものであったが,数値実験による沈み込み帯上面の地温勾配の推定と調和的である. 次に後退変成作用に伴う加水作用の影響を定量した.従来の変成岩岩石学では,上昇(後退変成)時は水に不飽和な状態を仮定しており,後退反応は限定的且つ局所的であると考えられていた.ところが本研究で見積もられた上昇中に流入した水の量は,従来考えられていたよりも有意に多く,単位面積当たりのフラックス(下限値)にして493cm^3/cm^2にも達する. さらに,ザクロ石の組成累帯構造と鉱物包有物を用いて累進変成時の温度圧力(P-T)パスを求めた.まず,ザクロ石の中で特徴的な分布を示すルチルとイルメナイトの包有物に温度圧力計を適用して,コアからリムに向かっての温度圧力条件の変化を見積もった.また,ザクロ石のグロシュラー成分のプロファイルと,KCFASH系で熱力学的に求められたグロシュラー成分の等濃度線を比較して,包有物から求められたP-T条件と併せてP-T経路を推定した.求められた累進変成作用のP-T経路は,700℃,12-13kbar付近を境に,ほぼ等温的に圧力が増加したことを示す反時計廻りの曲線となった.これは,従来変成岩岩石学の定説であった時計廻りのP-T経路と全く異なるものである. 最後にこれらの結果を総合的に説明し得るテクトニックモデルとして,変成帯の換状上昇モデルを適用し,その妥当性を検証した.
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Research Products
(1 results)
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[Publications] Masago, H., Rumble, D.III, Ernst W.G., Parkinson, C.D., Maruyama, S.: "Low δ^<18>O eclogites from the Kokchetarmassif, northern Kazakhstan"Journal of Metamorphic Geology. (未定). (2003)