2002 Fiscal Year Annual Research Report
直接光子およびレプトン対の観測によるクォーク・グルーオン・プラズマ状態の研究
Project/Area Number |
01J05252
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Research Institution | The University of Tokyo |
Principal Investigator |
坂口 貴男 東京大学, 大学院・理学系研究科, 特別研究員(PD)
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Keywords | RHIC / PHENIX / 電子対 / 直接光子 / 電磁カロリメータ / RICH / ハドロン / QGP |
Research Abstract |
米国ブルックヘブン研究所のRelativistic Heavy Ion Collidor(RHIC)を用いたPHEMX実験において、【square root】_<SNN>=200GeVにおけるπ^0中間子の再構成の初期結果が得られ、国際会議Quark Matterにおいて口頭発表された。この結果から他のハドロン崩壊による光子のスペクトルを求めた。しかしながら、このπ^0中間子の再構成の結果はいまだ最終的なものではなく、検出効率、バックグラウンドの推定をさらに精確に行わなくてはならない。π^0中間子の測定結果には、生成時には他のハドロンであったが、その後崩壊してπ^0中間子となり、観測にかかるものも多いので、その推定のためには他のハドロンも測定する必要がある。そのような視点に立ち、π^0中間子以外のハドロンに関しても解析を行った。その結果は同じく国際会議Quark Matterにおいて口頭発表された。また【square root】_<SNN>=130GeVにおける直接光子の中間結果がまとまり、これも報告された。それらの結果を併せ、ヨーロッパで研究者との打ち合わせを行ない、そこでの活発な議論の結果、今後の実験研究の方針を決定した。この方針のもとに、現在【square root】_<SNN>=200GeVでの直接光子導出の解析を行っており、春の物理学会にて報告予定である。 本年度はまた電子対測定を通してJ/Ψ粒子の同定を行い、中心衝突においてその収量が抑制されるかどうかを調べた。この結果は春の学会で報告予定である。 本年度はさらに、電子検出器を用いた電子対トリガー回路の改良、試験を行った。昨年度の実験においては、全トリガー回路のうち15%のみ正常に動いたが、追試験の結果トリガー回路に使用しているカスタムICの特性のばらつきが原因であることがわかり、本年度は全体の95%を正常に動作させることに成功した。今後、現在取得中のRHIC3年目のデータから、J/Ψ、φなどの中間子と思われるシグナルをどの程度の効率で見ることができるかを確認する。その結果は春の学会にて報告予定である。 最後に、バックグラウンド電子識別器としての小型チェンバーの製作、試験を行った。これまで適当な読み出し回路がなかったが、最近仕様を満たすものが見つかり、購入した。そのチェンバーでの測定結果は同じく春の学会で報告予定である。小型チェンバーによるデータは昨年度、本年度の電子対解析にフィードバックされる。
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Research Products
(1 results)