2002 Fiscal Year Annual Research Report
ホスファチジルイノシトール-3-キナーゼ阻害剤ワートマンニンの触媒的不斉全合成
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01J05362
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Research Institution | The University of Tokyo |
Principal Investigator |
水谷 尊志 東京大学, 大学院・薬学系研究科, 特別研究員(DC2)
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Keywords | ホスファチジルイノシトール-3-キナーゼ / ワートマンニン / 全合成 / 触媒的不斉合成 |
Research Abstract |
ホスファチジルイノシトール-3-キナーゼ阻害剤ワートマンニンの触媒的不斉全合成を目的とし、交付申請書に記載の実施計画に基づき前年度から引き続き研究を行った。 既に報告しているように、ワートマンニンの基本環骨格のうち,これまでにA〜D環の構築に成功しており,後は最も不安定で反応性の高いフラン環の構築を残すのみとなっていた。そのフラン環構築は,A環ラクトンに対するアミノメチレン化により必要な炭素鎖を導入した後,比較的不安定なアミノメチレン基をメチルエノールエーテルとして保護することで,安定な中間体として単離する事に成功した。続いて環状オルトエステルを除去し、生じたジオールを,連続するPDC酸化、Swern酸化により効率良くジオスフェノール構造へと変換した。このジオスフェノール体を用いるフラン環の構築は,種々検討の結果,はじめにジエチルアミンで処理する事により,メトキシ基を酸性条件下においてより脱離能の高いアミノ基へ置き換えた後,1N塩酸で処理する事により,D環上アセタールの脱保護と共に閉環反応が進行し,目的とするフラン体を良好な収率で得る事に成功した。最後に,TBS基をHF・3Et_3Nを用いて除去した後,生じる水酸基のアセチル化により,ここにワートマンニンのラセミ体ではあるものの初の全合成を達成することができた。続いて本全合成をワートマンニンの効率的な触媒的不斉合成へと発展させるべく,有機分子触媒を用いる分子内不斉アルドール縮合を計画した。そして、その鍵反応の基質となる化合物は,安価なテトラヒドロフランの開環により得られるヨウ素体とアクリロイルクロリドの根岸カップリング,続くマイケル反応により、容易に大量供給可能な方法で合成する事に成功した。
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Research Products
(1 results)
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[Publications] T.Mizutani, S.Honzawa, S.-y.Tosaki, M.Shibasaki: "Total Synthesis of (±)-Wortmannin"Angew. Chem. Int. Ed.. 41. 4680-4682 (2002)