2002 Fiscal Year Annual Research Report
Project/Area Number |
01J05363
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Research Institution | The University of Tokyo |
Principal Investigator |
藤本 哲平 東京大学, 大学院・薬学系研究科, 特別研究員(DC2)
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Keywords | R901483 / 全合成 / 立体制御 / 大量供給 / 窒素求電子剤 / 不斉非対称化 / 不斉還元 |
Research Abstract |
FR901483の全合成を目指し、まずラセミ体での検討を行った。前年度に報告した合成法に従い、2つの水酸基及びパラメトキシベンジル基について完全に立体制御した中間体の10グラムスケールでの大量供給を行った。得られたアルコール体は水酸基をTBS基で保護した後、FR901483のメチルアミノ基に相当する窒素官能基の導入を検討した。ラクタムをLDAで処理することにより発生させたエノラートの窒素求電子剤による捕捉を試みたところ、嵩高いクロロニトロソシクロヘキサンを用いた場合に望みの立体化学を有するヒドロキシルアミノ体がほぼ単一の立体異性体として得られることが分かった。この反応においては系中で生じたニトロンを、ヒドロキシルアミンを用いて速やかに分解することで目的物としている。このようにして得られたヒドロキシルアミノ体は、酢酸中、亜鉛還元することでアミンへと導いた。続いてギ酸及び無水酢酸を用いた条件によりN-ホルミル化を行いメチル基に相当する1炭素を導入し、最後にLAHを用い2つのアミド部分を還元することで、既にFR901483の全合成の中間体として報告されている化合物へと導くことができた。ここにFR901483のラセミ体での形式的全合成を達成した。ラセミ体での合成を完了し、続いて光学活性体の合成について検討を行った。その手法として、分子内アルドール反応前駆体である対称なケトンの光学活性塩基を用いた不斉非対称化、あるいはデヒドロアミノ酸誘導体の不斉還元による分子内アルドール反応前駆体の光学活性体としての合成を試みた。これらについては、現在のところ十分に満足の行く選択性は得られておらず、今後さらに検討を続け光学活性体の合成を行う予定である。
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