2002 Fiscal Year Annual Research Report
Project/Area Number |
01J05451
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Research Institution | The University of Tokyo |
Principal Investigator |
村山 英未 東京大学, 大学院・農学生命科学研究科, 特別研究員(DC2)
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Keywords | 耳石 / バイオミネラル / 基質タンパク / 炭酸カルシウム / 免疫組織化学 / マイクロインジェクション / ゼブラフィッシュ / 機能阻害 |
Research Abstract |
1.耳石を形成する2種類の基質タンパク質の微細分布 ニジマスの耳石を構成する有機基質の主要な成分として、これまでにOMP-1およびOtolin-1と名付けた2種類の基質タンパク質の同定に成功した両基質タンパク質に対する特異的抗体を用いて透過型電子顕微鏡(TEM)による免疫組織化学を行うことによって、両基質タンパク質の耳石および各々の産生細胞における微細分布を調べた。その結果、各々の産生細胞内における分泌顆粒の特定に成功したが、耳石内における分布については反応性の程度にばらつきが認められ、特に抗Otolin-1抗体に対する反応性は極端に低いことがわかった。 2.遺伝子の機能阻害実験による両基質タンバク質の機能の推定 ゼブラフィッシュは、魚類のモデル動物として発生学の分野で最も解析が進んでいる魚である。また、ゼブラフィッシュは発生速度が速く、約18時間後には内耳の基となる耳胞が出現することがわかっている。そこでまず5RACE法によりOMP-1およびOtolin-1のゼブラホモログを同定し、両遺伝子のmRNAに特異的に結合して翻訳を阻害するモルフォリノオリゴを設計した。次に、マイクロインジェクション法により、各々のモルフォリノオリゴを受精直後の受精卵に注入した。蛍光色素をコインジェクションすることにより、胚全体にモルフォリノオリゴが行き渡っている個体を選別し、耳石がある程度大きくなる75時間胚までインキュベーター内にて発生させた。75時間胚の内耳には扁平石および礫石と呼ばれる2つの耳石が認められ、これらは互いに三次元的に離れて位置する。インジェクションした個体の内耳を光学顕微鏡下で観察し、耳石の形態別に分けたところ、OMP-1注入区ではコントロール区に比べて小さい耳石が形成され(耳石形成が遅れ)、一方Otolin-1注入区では2つの耳石が融合する個体が増加することが分かった。また、これらの結果は濃度依存的に上昇することも確認した。
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