2002 Fiscal Year Annual Research Report
線虫を用いた神経伝達物質受容体の薬理学的性質と個体における機能の解析
Project/Area Number |
01J05595
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Research Institution | The University of Tokyo |
Principal Investigator |
周防 諭 東京大学, 大学院・総合文化研究科, 特別研究員(DC2)
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Keywords | ドーパミン / ドーパミン受容体 / 線虫 / D1様受容体 / D2様受容体 / 神経伝達物質受容体 |
Research Abstract |
これまでに同定した線虫C.elegansのD2様受容体であるK09G1.4について、この受容体が線虫個体内でドーパミンニューロンに発現しているかを調べるために、K09G1.4の発現部位とcat-2の発現部位を比較した。cat-2は線虫のチロシンヒドロキシラーゼ遺伝子で、ドーパミンニューロンのみで発現が見られることが既に報告されている。蛍光波長の異なる蛍光タンパク質を用いて、この2つの遺伝子の発現部位を比較した結果、K09G1.4はcat-2の発現する全ての細胞で発現が観察された。さらにK09G1.4はcat-2が発現していない幾つかの神経細胞にも発現が見られた。哺乳類ではD2ドーパミン受容体は前シナプス側(つまりドーパミンニューロン)と後シナプス側両方に存在し、オートレセプター、ヘテロレセプター両方として機能していることがわかっている。今回の結果から、線虫においても哺乳類と同様に、ドーパミンニューロンとそれ以外の神経細胞でD2様受容体が発現していることが明らかになった。 ドーパミン量が10分の1以下に減少している株cat-2で見られる表現型が、線虫のD1様受容体F15A8.5の変異株で観察されるかを調べた。野生型の線虫は餌である大腸菌が存在するときに運動速度を減少させるが、cat-2ではドーパミンニューロンを介した大腸菌の認識に異常があるために、運動速度が変化しない。F15A8.5変異株で大腸菌による運動速度の変化が観察されるか調べたところ、野生型と同様に大腸菌によって運動速度を減少させた。この結果から、ドーパミンが関わる運動速度変化にはF15A8.5は関わっていないことが示唆された。
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