2002 Fiscal Year Annual Research Report
Project/Area Number |
01J05754
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Research Institution | The University of Tokyo |
Principal Investigator |
木村 達人 東京大学, 大学院・工学系研究科, 特別研究員(PD)
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Keywords | 分子動力学法 / 水 / カーボンナノチューブ / 相変化 |
Research Abstract |
分子動力学法を用いて単層カーボンナノチューブ内の水から氷への相変化シミュレーションを行った.中央に炭素原子3120個からなる(10,10)のSWNT(直径1.4nm,長さ19.5nm)を配置し,その内部に192個の水分子を配置した計算系を用いた.水分子には単純でありながらも,表面張力などをよく再現できるSPC/Eモデルを適用し,炭素問共有結合ポテンシャルとしてはBrennerポテンシャルを用いた.水-炭素間のポテンシャルに関しては,van der Waals力を表す酸素原子-炭素原子間のLennard-Jonesポテンシャルと,水分子の電荷と炭素原子の四重極との間のクーロンポテンシャルの和で表現した.計算開始から最初の50psは系全体に対して速度スケーリング法による温度制御を行い,300Kに系の温度を保った.その後,系を冷却していくことにより水の相変化シミュレーションを行ったが,SWNT内の水を直接温度制御することは避け,外側のSWNTの温度制御のみによって熱流速一定条件で冷却を行った.本研究で用いた系は小さく凝固熱自体も小さいため,通常の熱流速一定条件の相変化で見られる温度一定領域は観測されなかった.冷却速度を変えた2通りの計算を行い,酸素原子間距離分布の時間変化から結晶化の判定をしたところ,220K,200Kという異なる相変化温度が観測された.220Kでの相変化では八角形のチューブ状の氷結晶が得られたが,200Kでの相変化では中心に一列水分子が並ぶことによって八角形構造の一部に欠陥が生じている結晶が生成された.
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Research Products
(1 results)
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[Publications] S.Maruyama, T.Kimura, M.-C.Lu: "Molecular Scale Aspects of Liquid Contact on a Solid Surface"Thermal Science and Engineering. vol.10, no.6. 23-29 (2002)