2002 Fiscal Year Annual Research Report
鑑賞行動と空間認知からの分析――美術館の展示空間に関する研究
Project/Area Number |
01J05758
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Research Institution | The University of Tokyo |
Principal Investigator |
徐 華 東京大学, 大学院・工学系研究科, 特別研究員(PD)
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Keywords | 展示空間 / スケッチマップ / 場所の定位 / 認知地図 / 認知空間 / 身体運動依存型 / 外周枠組依存型 |
Research Abstract |
美術館の展示空間においては、展示作品を鑑賞し夢中になる場合は、注視する対象(展示作品)は「図」となり、空間は「地」となり、通過した場所を見失うことが身近でしばしば見られる。展示空間において場所の定位の誤りに関する要因を明らかにすることは、分かりやすい空間のあり方を検討する上では、大きな意義があると考えられる。その一方で、空間を認知しながら経路が選択されるという過程を考えると、空間はどのような手がかりによって鑑賞者にとらえられ、組み立てられるのかということは、経路選択を理解する手がかりになると考えられる。そこで、本研究はこれまでの展示空間における歩行実験の後、被験者に描画してもらったスケッチマップ、またはその描画順によって、1.場所の定位を明らかにすること、2.認知された空間の構造を明らかにすることを目的とする。 本研究は、スケッチマップまたはその描画順を分析した上、主体側による経路選択及び展示空間における環境の考察を行った。まとめとしては、場所の定位における方向的誤り、それが生じる要因を検討した。場所の方向的定位と関わっていると見られる要因としては、歩行経路の長さ・曲折、経路選択の行動単位、環境の開放性が見られた。 スケッチマップ描画順等の分析によって「認知地図」・「認知空間」については以下のことが明らかになった。滞在時間が短く歩行周数が1周の場合、「認知地図」の構造は身体運動依存型が多いのに対して、滞在時間が長いか往復による歩行周数が多い場合、「認知地図」の構造は空間全体が把握され、建物の構造に基づいた外周枠組依存型が多い。
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Research Products
(4 results)
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[Publications] 徐華, 西出和彦: "展示空間における経路選択の類型-回遊空間における経路選択並びに空間認知に関する研究その1"日本建築学会大会学術講演梗概集. 2002・8. 833-834 (2002)
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[Publications] 西出和彦, 徐華: "展示空間における経路選択の類型-回遊空間における経路選択並びに空間認知に関する研究その2"日本建築学会大会学術講演梗概集. 2002・8. 835-836 (2002)
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[Publications] 徐華, 西出和彦: "展示空間における「認知地図」と「認知空間」の分析"人間・環境学会第9回大会梗概. (2002)
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[Publications] 徐華, 西出和彦: "TYPES OF PATH CHOICE IN EXHIBITION SPACE IN A MUSEUM"The 5th EBRA International Symposium For Environmental Behavior Studies. 104-114 (2002)