2002 Fiscal Year Annual Research Report
NMDA受容体と癌抑制遺伝子産物APCおよびDLGファミリーの複合体形成意義
Project/Area Number |
01J05854
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Research Institution | The University of Tokyo |
Principal Investigator |
原口 景子 東京大学, 分子細胞生物学研究所, 特別研究員(PD)
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Keywords | NMDA / APC / DLG |
Research Abstract |
NMDA受容体は海馬における長期増強(LTP)に必須なイオンチャンネルである。NMDA受容体のC末端にはPSD-95などのDLGファミリー蛋白質が結合し、NMDA受容体のクラスタリングに関与していることが明らかにされている。さらに、大腸癌抑制遺伝子産物APCはPSD-95やDLGと複合体を形成し、これらがPSD-95のオリゴマー形成によりNMDA受容体-PSD-95複合体と会合しひとつの複合体として存在することから、本研究はAPCのDLGファミリー蛋白質結合モチーフS/TXVを破壊したマウスを作製しその表現型の解析を目的としている。本年度の研究実績は以下の通りである。 (1)APC、DLGファミリー蛋白質結合モチーフS/TXVを欠損マウスを作製するため構築したターゲッティングベクターをエレクトロポレーション法によりES細胞TT2へ導入し、相同組換えを起こしたES細胞抗生物質G418を用いてスクリーニングを行った。 (2)アグリゲーション法またはインジェクション法によりキメラマウスを作製した。 (3)ホモ欠損マウスを作製するためにヘテロ欠損マウスの交配を行い、ホモ欠損マウスを得た。 (4)得られたホモ欠損マウスの個体レベルでの表現形を解析するために、ホモ欠損マウス脳より調製した組織切片の電子顕微鏡による観察、脳特異的マーカーの染色を行った。またホモ欠損マウスを電気生理学的、あるいは空間学習能などを行動学的な手法を用いて解析を行った。 今後、引き続き新たなラインのホモ欠損マウスの作製とその表現型を詳細に解析し、脳の発生と分化、神経回路形成、海馬における長期増強(LTP)や小脳における長期抑圧(LTD)等神経の可塑性、あるいは空間学習能など、生化学的、分子細胞生物学的、電気生理学的、行動学的に解析を行うことを計画している。
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