2002 Fiscal Year Annual Research Report
Project/Area Number |
01J05922
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Research Institution | The University of Tokyo |
Principal Investigator |
小林 研 東京大学, 大学院・理学系研究科, 特別研究員(DC2)
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Keywords | 太陽フレア / テルル化カドミウム / 硬X線スペクトル / 気球観測 / CdTe |
Research Abstract |
本研究では太陽フレアの硬X線スペクトル観測のための気球搭載観測装置を開発している。平成13年度に装置を完成し初回飛行に成功したものの観測期時間中に太陽フレアが起きず、有用なスペクトルデータの取得はできなかった。このため平成14年度には再度飛行のため装置の改修を行った。破損個所の補修に加え、飛行時の太陽高度が変わるためコリメーターの再設計と製作、および視線制御センサーと制御システムの変更を行った。その後、この装置を搭載した宇宙科学研究所高高度気球B80-7が平成14年5月24日朝6時30分に三陸気球観測所より放球された。昼間の太陽観測にもかかわらず、放射冷却によりカドミウムテルル検出器温度は-20度C以下に順調に冷却され、5月24日8時40分頃より観測が開始された。観測を継続した結果、15時30分頃にはM1.2クラスの太陽フレアの観測に成功した。本観測は、現在世界各国で開発が行われているテルル化カドミウム検出器による、世界最初の天体からのX線の検出と思われる。このフレアの前半部分はNASAのRHESSI衛星でも観測され、比較検討の結果、双方のスペクトルは極めて良く一致したことから両機器の校正が検証された。解析結果によるといずれのデータも4千7百万度の熱的なスペクトルで良く説明でき、非熱的成分は全く見られなかった。これらの特徴はこれまで報告されているフレアの特性と異なるため既製モデルに当てはめて結論を出すことは不可能である。現在RHESSI衛星データを用い、野辺山電波天文台の太陽偏波計のデータなどと比較し同様の性質を持ったフレアの特徴を見極めるべく解析を続行している。
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