2002 Fiscal Year Annual Research Report
Project/Area Number |
01J05954
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Research Institution | The University of Tokyo |
Principal Investigator |
鈴木 功至郎 東京大学, 大学院・理学系研究科, 特別研究員(DC2)
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Keywords | インフレーション / 有効作用 / 超対称性 / 大統一理論 |
Research Abstract |
今年度は、宇宙初期のインフレーション中にインフラトン(インフレーションを引き起こす真空エネルギーを蓄えているスカラー場)の期待値が量子論的にどのように時間発展するかを研究した。具体的には、スカラー場の自己相互作用を1-loopレベルで取り入れて古典的な運動方程式がどのように補正されるかを計算した。さらに、背景時空が平坦な場合と曲がっている場合について考察した。インフラトンの期待値の時間発展を計算することの難しさは、インフレーション中の「真空」がシンフレーション終了後の「真の真空」と異なっていて、時々刻々変化して行く点にあるといえる。この点を捕らえるべく、我々はin-in (closed-time-path) effective action formalismと呼ばれる手法を採用した。今までもインフラトンの量子論的な運動方程式を求める研究はなされてきたが、いずれも以下のどちらかの範疇に入るものであった:(1)曲がった背景時空上でin-out effective action formalismにより有効作用を計算し、それから有効運動方程式を導出する、(2)in-in effective actionを計算してはいるが、それから有効運動方程式までは正しく導出していない。(1)のin-out effective actionは散乱振幅や崩壊幅の計算に用いるべき量であり、期待値の有効作用とは異なるものである。我々の計算の結果、in-in effective actionから導出した有効運動方程式はin-out effective actionから導出したものの実部であることがわかった。この結果は現在論文として準備中である。 上記の研究と並行して、昨年度の研究(U(1)_<B-L>対称性をゲージ化したno-scale型超対称モデルの研究)の補充を行った。具体的にはCP対称性を破る位相を評価したり、ニュートリノの湯川相互作用が引き起こすFCNC過程の大きさを評価したり、粒子の質量スペクトルの特徴づけなどを行った。
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Research Products
(1 results)