2002 Fiscal Year Annual Research Report
Project/Area Number |
01J05995
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Research Institution | The University of Tokyo |
Principal Investigator |
榎本 渉 東京大学, 大学院・人文社会系研究科, 特別研究員(DC2)
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Keywords | 日本 / 中国 / 朝鮮 / 文化交流 / 貿易 / 仏教 / 宋 / 元 |
Research Abstract |
「元末内乱期の日元交通」(『東洋学報』84-1)では、元末内乱(1348-67)の動向と日元交通の盛衰の関連を明らかにし、また内乱の影響として、日元間の交通路が動揺し、従来ほとんど用いられなかったルートが採られるようになったこと、2世紀にわたる僧侶の渡海ブームが下火になったことを明らかにした。 「『鄂隠和尚行録』を読む」(『日本歴史』651)では、南北朝期から室町初期に活躍した鄂隠慧〓という禅僧の伝記史料『鄂隠和尚行録』に見える対外関係記事、すなわち鄂隠入明と鄂隠のもとにいた明人に関する記述のものになった明側史料を紹介し、『行録』における原史料の節略・誤用を明らかにした。内閣文庫所蔵の未活字化史料の調査の成果の一部である。 「日本史研究における南宋・元代」(『史滴』24)は、日宋・日元関係のトピックおよびその研究史の整理を行った。もっぱら日本史・考古学研究者によって行われてきた当該分野の研究について、東洋史研究者の関心を引き起こす契機となることを期待したものである。 禅学研究会大会では、「漢籍史料に見える中世日本の度牒」を報告した。度牒とは僧侶身分であることを証明する文書。入宋・入元僧が所持した中国風アレンジの偽造度牒が何点か現存することは従来から知られていたが、本報告では中国史料に日本僧の偽造度牒に触れるものが存在することを紹介し、中国での身元証明を目的とするものであったことを指摘した。 フィールドワークとしては、港湾研究の一貫として、日本では福井県小浜・敦賀、および長崎県鷹島・長崎・島原を、海外では中国江蘇省・台湾を調査した。いずれも古代から近世において貿易・文化交流の舞台となった場である。
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Research Products
(4 results)
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[Publications] 榎本 渉: "元末内乱期の日元交通"東洋学報. 84-1. 1-31 (2002)
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[Publications] 榎本 渉: "『鄂隠和尚行録』を読む"日本歴史. 651. 90-96 (2002)
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[Publications] 榎本 渉: "日本史研究における南宋・元代"史滴. 24. (2003)
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[Publications] 榎本 渉: "十四世紀後半、日本に渡来した人々"遥かなる中世. 20. (2003)