2002 Fiscal Year Annual Research Report
Project/Area Number |
01J06029
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Research Institution | The University of Tokyo |
Principal Investigator |
中村 貴純 東京大学, 大学院・理学系研究科, 特別研究員(DC1)
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Keywords | 惑星科学 / 天体衝突 / 大気進化 / 環境変動 |
Research Abstract |
惑星への天体の衝突という現象は,惑星の大気進化,生命の起源と進化,地殻進化,環境変動などに大きな影響を及ぼす可能性があるという点で,極めて重要な意味を持つことが考えられる.特に,巨大天体衝突の際には,衝突蒸気雲が生じるとともに惑星の大気がはぎ取られる可能性が指摘されており,火星や地球の大気進化を考える上で非常に重要な過程として注目される.本研究は,天体衝突現象が,火星等の惑星の大気進化に与える影響について明らかにすることである. かつての火星においては,温暖かつ湿潤な気候状態が存在したことが示唆されている.この場合,その環境は二酸化炭素大気による強い温室効果によるものであったと考えられている.その状態から現在の寒冷な気候状態への遷移は,天体衝突が火星大気をはぎ取り,火星表層システム中から二酸化炭素を除去することによって起きうることがわかった.さらに,火星の自転軸傾斜角が大きく変動した可能性を考慮すると,天体衝突によってはぎ取られる必要のある大気量は自転軸傾斜角に大きく依存し,自転軸傾斜が小さいほどその量は小さいことがわかった.一方,自転軸傾斜が大きい場合には,より多くの大気がはぎ取られる必要がある.また,天体衝突による大気はぎ取り量は,その時存在する大気量に依存し,そのために大気はぎ取りと大気量の進化との間で相互作用が働くという知見を得た.これらのことに関連して2002年日本惑星科学会秋季講演会,2002年日本気象学会秋季大会,Journal of Geophysical Research-Planets誌において成果を発表した.
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Research Products
(1 results)
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[Publications] Takasumi Nakamura, Eiichi Tajika: "Stability of the Martian climate system under the seasonal change condition of solar radiation"Journal of Geophysical Research-Planets. 107 E11. 5094,4-1-5094,4-10 (2002)