2003 Fiscal Year Annual Research Report
Project/Area Number |
01J06069
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Research Institution | The University of Tokyo |
Principal Investigator |
神長 英輔 東京大学, 大学院・総合文化研究科, 特別研究員(DC1)
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Keywords | ロシア史 / 近代史 / 日本史 / 漁業史 |
Research Abstract |
今年度は大別して三つの研究課題に取り組んだ。 一つめの課題はプリアムール総督府の漁業に関わる施策(1884から1903年)の研究である。この課題については、「総督府の政策の目的が日本人漁業者の排除で一貫していた」という従来の通説をロシア側の史料研究に基づいて反証した。 二つめの課題は日本の対サハリン島政策の研究である。日本の外交文書に基づいて樺太千島交換条約(1875年)から日露戦争(1904年)直前までの日本の対サハリン島政策の目的を明らかにした。具体的にはまず漁業者の政治活動と外交の関わりを明らかにした。また、日露戦争に至る日本の対露外交における漁業問題の意義を明らかにした。 三つめの課題は「北洋漁業」や「北洋」という概念の構築性を検討する研究である。ここでは1920年代から30年代にかけての漁業業界誌を史料として三つの作業をおこなった。一つめの作業では「北洋」という語が1930年前後から使われるようになった過程を明らかにした。二つめの作業では「北洋漁業」という表象を「(先住民を含まない)民族的『日本人』によって『日本』外部と想像される空間でおこなわれる漁業」と定義した。そして三つめの作業では「北洋」を語る言説が対ロシアイメージに与えた影響を明らかにした。 なお、以上の研究成果を函館日口交流史研究会、ロシア史研究会、国立民族学博物館地域研究企画交流センター共同連携研究など五つの研究会・学会で口頭発表した。それらの報告は論文として二つの学術雑誌に掲載された。残りも現在学術雑誌・紀要ほかに投稿中である。
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Research Products
(2 results)