2002 Fiscal Year Annual Research Report
現代リベラリズムの平等論の再定位-アマルティア・センの倫理・政治思想を中心に-
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01J06070
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Research Institution | The University of Tokyo |
Principal Investigator |
眞崎 裕子 (神島 裕子) 東京大学, 大学院・総合文化研究科, 特別研究員(DC1)
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Keywords | 地球社会 / 地球政治 / 人間の尊厳が要請するミニマム / 地球的正義 |
Research Abstract |
本研究の目的は、アマルティア・センの倫理・政治思想を中心に現代倫理学の平等論を考察し、批判的検討を行った規範理論を用いて、デモクラシーを国家から国際社会へと再定位することにある。第二年度の予定としては、(1)比較政治学的に平等をめぐる制度研究を行うこと、(2)平等をめぐる規範理論の研究を継続して行うことであった。 平成14年度科学研究費補助金の実績として、まず(1)について、日本、アメリカ、イギリス、シンガポールにおける平等制度について、政治・経済の領域をまたぐ新たな知見を得ることができた。その成果の一部を論文として作成し、現在学術雑誌に投稿中である。また、申請者は本年度においてインドでの滞在研究を予定していたが、インド-パキスタン間の情勢不安のためやむなく予定を変更し、在フィンランドの世界開発経済研究所に赴き資料収集を行った。同研究所は国連大学の一部であり、不平等問題・貧困問題の解決を目的とする研究が蓄積されており、通常では入手できないアマルティア・センやマーサ・ヌスバウムによるインドに関する研究成果を閲覧することができた。次に(2)について、本年度はピーター・シンガー、ロバート・グッディン等による応用倫理学における平等をめぐる理論研究を開始することができた。 科学研究費補助金による本年度の研究発表としては、平成15年2月にInternational Studies Associationの年大会(至アメリカ合衆国ワシントン州)で口頭発表を行い、各国からの参加者と意見交換を行った。また、同月に横浜国立大学における研究会で口頭発表を行い、国内の研究者と意見交換を行った。本年度は学界や学術雑誌において「国際倫理」と賞される倫理のグローバル化が着目されはじめたこともあり、本研究の重要性と責任を痛感している。
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[Publications] 神島 裕子: "国際的社会正義の一試論"法学政治学論究. 54. 239-260 (2002)
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[Publications] 神島 裕子: "アマルティア・センにおける普遍と特殊"思想史研究. 3(2003.2.28時点で未定). (2003)
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[Publications] 丸山眞人: "ライブラリ相関社会科学 20世紀を考える(3)資本"新世社(2003.2.28時点で未定). (2003)