2002 Fiscal Year Annual Research Report
バーチャルリアリティのための電気触覚ディスプレイの研究
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01J06135
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Research Institution | The University of Tokyo |
Principal Investigator |
梶本 裕之 東京大学, 大学院・情報理工学系研究科, 特別研究員(DC1)
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Keywords | 電気触覚ディスプレイ / 触覚ディスプレイ / 能動触 / 最適制御 / 線形計画法 / 2次計画法 / オーグメンティドリアリティ / バーチャルリアリティ |
Research Abstract |
本年は電気触覚ディスプレイの産業的な応用の可能性を探ると共に生成される感覚を心理物理実験の手法によって評価した. まず応用としては,電気刺激が本質的には皮膚に接する電極のみ必要であり,極めて薄型にできることを生かし,触覚ディスプレイと光学式センサを同一基板の表裏に配置したシステムを開発した.このシステムのディスプレイ面を指に装着し,センサ面で現実世界の接触面をなぞることにより,センサで捉えた光学情報を触覚として感知することができる.これによって例えば視覚障害者が任意の印刷物を自由に読み取ることができる.類似のシステムは70年代から存在したが,従来の機械式触角ディスプレイを用いていたため極めて大型で持ち運び難いシステムとなっていた.この応用成果については国際学会IEEE Virtual Reality 2003にて3月に発表すると共に,7月の米国におけるSiggraph 2003においてデモンストレーション展示を行う予定である. また本研究は究極的には電気刺激によって生じる感覚を機械的な刺激によって生じる触覚と区別がつかないものとする事を目的としているが,本年はこの評価のための心理実験的枠組みを提案し,実際の心理物理実験によって電気刺激と機械刺激の相違点を示した.具体的には機械刺激(上下振動)と電気刺激を同時に同じ場所に提示し得るシステムを振動子と電極によって構成し,被験者にそれぞれの刺激を与えることで二つの刺激を比較する.今回は特に振動感覚に着目し,機械振動と電気刺激において振動周波数の認識に違いが生じること,特に機械刺激では400Hz以上の振動まで認識できるのに対し,電気刺激は50Hzより高い刺激を振動として捉えられないこと,さらには電極の配置を変更して刺激する神経をより皮膚深部に設定することによって,100Hz程度までの振動を弁別できるようになることを発見した.さらにこの特異な現象が電気刺激において皮膚下に存在する受容器のうちある1種類のみ刺激しているために生じていることを示した.
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Research Products
(6 results)
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[Publications] 梶本, 川上, 舘: "神経選択刺激のための最適設計法"電子情報通信学会論文誌. vol.j85-D-II, no.9. 1484-1493 (2002)
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[Publications] Takahashi, Kajimoto, Kawakami, Tachi: "Electro-Tactile Display with Localized High-Speed Switching"Proc. of International Conference on Artificial Reality and Telexistence 2002. (ICAT 2002). 10-15 (2002)
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[Publications] 梶本, 稲見, 川上, 舘: "触覚におけるオーグメンテッドリアリティの研究(第3報)-SmartSkin:電気触覚による皮膚感覚の実装-"日本バーチャルリアリティ学会 第7回大会論文集. 149-152 (2002)
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[Publications] 高橋, 梶本, 川上, 舘: "走査型電気触覚ディスプレイを用いた刺激提示について"日本バーチャルリアリティ学会 第7回大会論文集. 145-148 (2002)
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[Publications] 梶本, 川上, 舘: "電気触覚ディスプレイにおける受容器選択刺激の心理物理的評価"計測自動制御学会システムインテグレーション部門講演会. 2P81-04 (2002)
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[Publications] Hiroyuki Kajimoto, Naoki Kawakami, Susumu Tachi: "SmartTouch? Augmentation of Skin Sensation wit Electrocutaneous Display"Proceeding of IEEE Virtual Reality 2003. (未定). (2003)