2003 Fiscal Year Annual Research Report
低次元超伝導体の超低温及び高角度・高エネルギー分解能光電子分光
Project/Area Number |
01J06136
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Research Institution | The University of Tokyo |
Principal Investigator |
木須 孝幸 東京大学, 大学院・工学系研究科, 特別研究員(DC1)
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Keywords | 角度分解光電子分光 / 超伝導 / 電荷密度波 |
Research Abstract |
東京大学物性研究所においてレーザーを励起光源として用いた光電子分光装置の開発、建設、改良を進めてきた。現在、装置は完成し、その諸性能は、ユネルギー分解能360μeV、常用可能な最低温度2.6K、測定時真空度1×10^<-11>Torr以下と、現在本研究において用いている世界最高の性能を持つ光電子分光装置のエネルギー分解能1.4meV、常用可能な最低温度4.3Kを大きく上回り、従来型の光電子分光装置では考えることの出来なかった性能を持たせる事に成功した。 また現在の装置を建設した経験から装置の扱いに関して簡便に行えるよう最大限の配慮を行っており、その性能、コンパクトさ、簡便さにおいて大きな評価を得ている。 この全く新しい装置を用いてこれまで光電子分光では測定することの出来なかった様々な超伝導体の電子状態の研究を行った。電子の平均自由行程が大きくなることにより表面状態に左右されないレーザーを用いていることで、4f電子を含む重い電子系であるCeRu_2(T_c=6.2K)の超伝導ギャップの直接観測にはじめて成功し、詳細な解析によってそれが異方的s波の対象性を持つことが明らかとなった。 遷移金属ダイカルコゲナイド2H-NbSe_2についても理論の方々と議論を積極的に行い、それらの結果を学術雑誌に投稿し、これらの詳細については博士論文にもまとめた。本科学研究費補助金によって得られた結果は装置建設、実験、解析、解釈の面からみて、本研究が世界で初めての研究結果である。
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