2002 Fiscal Year Annual Research Report
水素結合からなる超分子マルチポルフィリンアレイの構築と光機能
Project/Area Number |
01J06156
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Research Institution | The University of Tokyo |
Principal Investigator |
山口 達也 東京大学, 大学院・工学系研究科, 特別研究員(DC1)
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Keywords | ボルフィリン / 水素結合 / 超分子 / フラーレン |
Research Abstract |
私は、分子の間に働く相互作用を利用する「超分子化学」の手法で、ナノテクノロジーの有望素材であるフラーレンを充填した微細なチューブをつくることに成功した。新たナノデバイスの材料としての応用やチユーブ内フラーレンの重合によるフラーレンポリマーの生成といった展開が期待される。 カーボンナノチューブに代表される極めて微少なチューブ状物質の構築は、微細化に限界が見えつつあるシリコンベースの電子デバイスの代替材料や水素貯蔵材料などへの期待から関心を集めている。特に、カーボンナノチューブ内にフラーレンを充填した物質は、pea-pod(さやえんどう)とよばれ、全く新しい原理で作動するコンピューターのパーツとしての可能性が示唆されている。一方で、カーボンナノチューブは溶解性が極めて低いという欠点があり、十分な溶解性を有したフラーレン充填ナノチューブの構築はチャレンジングな課題となっている。相田らはこの課題に対し、フラーレンを取り込む性質を持つ分子を自発的に集合させるという手法で取り組んだ。この手法であれば、十分な溶解性を持つ分子を有機化学的に設計することで、できあがるナノチューブにも高い溶解性を与えることが可能となる。研究室の過去の研究で、生体関連分子である金属ポルフィリンの二量体がフラーレンを強く取り込むことを見出していた。この知見を元に、自発的な集合の駆動力として生物の中でも広く利用されている水素結合を用い、フラーレン充填ナノチューブの構築に成功した。構築したナノチューブは高い溶解性を持っており、材料への展開に関して大きなアドパンテージとなっている。フラーレン充填ナノチューブ自身の材料への展開とは別に、チューブをフラーレンの極めて微少な反応容器として用いる展開も大変興味深い。フラーレンが重合したポリマーは導電性や磁性材料として大きな関心が持たれている。しかし、これまで報告されているポリマーはどのような構造になっているか不明な点が多く、当然ながら望みの構造のポリマーを手に入れることが困難であった。今回構築されたチューブ内で、光を当てるなどしてフラーレンの重合が実現できれば、極めて微少なフラーレンワイヤーが形成されることになる。しかも、適当な環境では外側のチューブは構成要素である分子に可逆的に解離させることができるため、内側のフラーレンワイヤーを取り出すことも可能と考えられる。
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