2002 Fiscal Year Annual Research Report
各種材料表面におけるトリチウムの吸着・脱離挙動の解明
Project/Area Number |
01J06163
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Research Institution | The University of Tokyo |
Principal Investigator |
千葉 邦彦 東京大学, 大学院・工学系研究科, 特別研究員(DC1)
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Keywords | 核融合炉 / トリチウム / 除染 / 光刺激脱離 / TOF法 / 酸化物 |
Research Abstract |
D-T核融合炉の安全性を確保するため、効果的なトリチウムの除染法の確立が重要な課題となっている。トリチウム除染法として、昇温脱離法、ガスパージによる方法や紫外線を照射する方法などが提案され、研究が行われてきた。エネルギー粒子(光子、電子、イオンなど)照射法は、効果的な除染法として期待されている。そこで、材料表面に付着した水や水素に、光を照射することで、それらを脱離する実験を行い、エネルギー粒子照射による脱離機構の解明とともに除染技術の開発を目的に研究を進めてきた。 実験で用いる試料としては、実際の使用条件を考慮し、薄い酸化物で覆われた純鉄を用いて実験を行った。試料表面に水を吸着させ、パルスレーザーを照射して脱離実験を行った。レーザー照射による脱離粒子は、もう1本のパルスレーザーを用いてイオン化し、TOF法によって質量分析を行った。また、脱離用のレーザーを照射してから、イオン化用レーザーを照射するまでの時間を制御することにより、脱離粒子の速度分布を求めた。230〜550nmの脱離用レーザーを照射することにより、水の脱離が観測できた。脱離水の量は、レーザー強度に比例することから、水の脱離には、1つの光子が関与していることが明らかになった。TOFスペクトルから脱離してきた水の速度分布を求め、平均速度と平均並進エネルギーを計算した。その結果から、水の脱離は、レーザー照射による試料表面温度の上昇により脱離してきたものではなく、レーザー照射による基板の電子励起が脱離を誘起している可能性が高いことが示唆された。
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Research Products
(2 results)
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[Publications] K.Chiba, R.Sato, T.Yoneoka, S.Tanaka: "Investigation of adsorption and desorption mechanism of water on material surface"fusion Science and Technology. 40. 386-390 (2002)
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[Publications] K.Chiba, R.Sato, T.Yoneoka, S.Tanaka: Fusion Engineering and Design. 61-62. 775-781 (2002)