2002 Fiscal Year Annual Research Report
Project/Area Number |
01J06165
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Research Institution | The University of Tokyo |
Principal Investigator |
石坂 香子 東京大学, 大学院・工学系研究科, 特別研究員(DC1)
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Keywords | 強相関電子系 / スピン電荷秩序 / 低次元性(層状ペロフスカイト) |
Research Abstract |
本研究で対象とした層状ニッケル酸化物は母物質において反強磁性絶縁体であり、ホールドーピングにより反強磁性的スピンドメインとホール(ドメインウォール)がホール濃度xの逆数の周期で縞状に並ぶ(変調波数ε〜x)スピン・電荷ストライプ秩序を示すことでよく知られている。また、この系におけるストライプ秩序はx=1/3において非常に安定であり、様々な物性において特異的振る舞いが観測されている。本年度は、高波数分解能を持つ放射光X線回折実験を用いてx=1/3近傍のストライプ秩序形成過程を詳細に調べた。 1)1/3近傍でホール濃度をずらした系では、ストライプ周期が温度に対して変化する整合・不整合クロスオーバーか観測された。ストライプの変調波数ε(周期の逆数)は低温では従来通りほぼxに等しいが、温度上昇に伴い1/3に近づくという温度変化を示す。このような温度変化によるクロスオーバーは、x=1/3を基準として電子、ホールをドープした際のエントロピー項を考慮することにより定性的に説明できる。また、そのクロスオーバー的振る舞いはx<1/3側で顕著に観測されるものの、x>1/3側では非常に小さい。これは電子の方がホールより低エネルギーでドープされることを示唆しており、1/3を基準とした電子・ホール非対称性の顕れとみなすことができる。 2)x=1/3ではストライプ秩序の振幅及び面内相関が最大となるが、その一方で面間の相関は周辺の組成に比べて弱くなっており、最低温(10K)でも2次元的な成分が明瞭に残っている。これよりこのfixed pointでは、準2次元的な準長距離秩序という特殊な状態が実現されていることが分かった。
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Research Products
(2 results)
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[Publications] K.Yamamoto, K.Ishizaka, E.Saitoh, S.Shinomori, T.Tanabe, T.Katsufuji, Y.Tokura: "Optical Probe of Charge-Spin-Lattice Dynamics in Half-Doped La1.5 Sr0.5NiO4"Physical Review B. 67. 014414 (2003)
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[Publications] R.Kajimoto, K.Ishizuka, H.Yoshizawa, Y.Tokura: "Spontaneous Rearrangement of the Checkerboard Charge Order to Stripe Order in La1.5Sr0.5NiO4"Physical Review B. 67. 014511 (2003)