2002 Fiscal Year Annual Research Report
Project/Area Number |
01J06173
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Research Institution | The University of Tokyo |
Principal Investigator |
玄田 英典 東京大学, 大学院・理学系研究科, 特別研究員(DC1)
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Keywords | 巨大天体衝突 / 惑星初期進化 / 大気の起源 / 大気進化 |
Research Abstract |
地球型惑星形成の現代的描像では、まず火星サイズの天体が微惑星の集積によって数十個形成され、その後、それら火星サイズの天体が互いに衝突を繰り返す(巨大天体衝突)ことによって現在の地球型惑星が形成されたと考えられている。本年度は、この巨大天体衝突によって、それまで惑星が保持していた大気が散逸てしまうかどうかについて力学的な側面から研究を行った。その結果、大部分の大気が吹き飛ばされずに残ることがわかった。また衝突天体が保持していた大気についても、相当量が地球型惑星に持ち込まれるということがわかった。過去の研究では、巨大天体衝突によって、これらの大気がすべて吹き飛ばされると考えられてきた。したがって、現在の地球型惑星の大気は、最後の巨大天体衝突を経験した後、おそらく隕石重爆撃期に集積したと考えられる彗星もしくは揮発性元素を大量に含む隕石によってもたらされたと考えざるをえなかった。しかし、現在の地球・金星の希ガス同位体比、地球の海のD/Hからは、そのような大気の起源はあまり支持されていない。したがって、本研究は、巨大天体衝突以前に惑星が保持していた大気、例えば、惑星形成の初期に捕獲した原始太陽系星雲ガスの組成を持つ大気や、微惑星集積によって脱ガスした揮発性物質が、地球型惑星の大気の起源として十分考えられうるという知見を示した。 以上の研究は、地球惑星科学関連学会2002年合同大会、第35回月惑星シンポジウム、日本惑星科学会2002年秋季講演会、The 2002 Goldschmidt Conference (Davos, Switzerland)で発表をした。また、3月に行われた34th Lunar and Planetary Science Conference (Houston, America)で発表をした。また、上記の研究成果をIcarusに投稿した。
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Research Products
(1 results)