2003 Fiscal Year Annual Research Report
Project/Area Number |
01J06183
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Research Institution | The University of Tokyo |
Principal Investigator |
市川 憲人 東京大学, 大学院・理学系研究科, 特別研究員(DC1)
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Keywords | 非可換幾何学 / 弦の場の理論 / 行列模型 / D-brane |
Research Abstract |
今年度は、弦理論の非可換幾何学的な側面を研究の最後の仕上げとして、弦理論を初めとする非可換幾何学的な性質をもつ諸理論を勉強して、比較しオリジナルなモデルを作ろうという試みをした。弦理論そのものや、IIA及びIIBマトリックス理論その上位理論であるSuper Matrix理論、開弦及び閉弦の弦の場の理論などが主な研究対象となった。その結果として分かったのは、現在の非可換幾何学を大きく越えた範疇を組み上げる必要があるということである。特に、閉弦の非結合性を考えると、性質が良く分かっているvon Neumann代数を用いた一般的な非可換幾何学を大きく離れることになる。非可換かつ非結合な代数によって表される新たな幾何学を考える必要性を感じ、それの構築に時間を注いだ。しかし、幾何学を与える代数の制約があまりにも小さいために、論文になるほどの意味のある結果を得ることは難しかった。そこで、いくつかの具体例を研究した。最も簡単な非結合性をもつバックグラウンドである、空間の1次の関数であらわされるNS-B background上でのD-braneの有効作用を考えて、その数学的な表現法を開発した。それ以外のアプローチとして、閉弦の場の理論の観点から弦理論の非結合幾何学的な性質を調べた。最後に、弦理論そのものに立ち帰り、弦理論の構成要素である閉弦,開弦,D-brane, NS-5brane等の成す代数を考える試みを続けているが、年度末までに論文として出版可能な状態にまでもっていくことができなかった。
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