2002 Fiscal Year Annual Research Report
スローンデジタルスカイサーベイのデータを用いた色選択法を用いた新銀河団検出法の開発
Project/Area Number |
01J06192
|
Research Institution | The University of Tokyo |
Principal Investigator |
後藤 友嗣 東京大学, 宇宙線研究所, 特別研究員(DC1)
|
Keywords | 銀河 / 銀河団 / サーベイ / 光度関数 / E+A銀河 / 銀河進化 |
Research Abstract |
Sloan Digital Sky Survey (SDSS)の撮像データーを用いて過去最大規模の銀河団カタログを作成した。このカタログに基づき銀河団銀河の光度関数を調べたところ、Field銀河に比べ銀河団には明るい銀河が多く、暗い銀河が少ないことがわかった。銀河の形態別光度関数では、明るい側は楕円銀河が多く、暗い側は渦巻き銀河が支配的であった。次に銀河団銀河のうち青い銀河の占める割合の進化を0.02<z<0.3の範囲にわたって調べたところ、青い銀河の割合は過去に向かって20%程度増加していることがわかった(The Butcher-Oemler effect)。同じ手法を用い、銀河団中の渦巻銀河の割合を調べたところ、これもまた20%程度、過去に向って増加していることがわかった。 次にSDSSの分光データーを用いて、これら進化の渦中にある銀河の性質をより詳しく調べた。各形態別銀河の割合を環境の関数として調べたところ(Morphology-Density Relation)密な環境では楕円銀河が支配的であり、疎な環境では渦巻き銀河が多いことがわかった。これに加え、銀河団周辺の環境ではSO銀河の増加が著しく、銀河団中心部では、楕円銀河の増加が著しいことが発見された。これは銀河団中心部と周辺部において二つの異なる物理効果が働いていることを示唆しており、周辺部では、ram-pressure stripping、中心部では銀河mergingが起こっていると考えて観測結果と矛盾しない。 次にこれらの銀河進化の渦中にある銀河として注目される二つのタイプの銀河について詳しく調べた。 Passive Spiral銀河:これらの銀河は渦巻き銀河の形態を持ちながら一切の星生成活動を行っていないという特殊な銀河である。その稀さ故に過去大規模な調査を行うことが難しかった。SDSSのデーターを用いて均一にPassive Spiral銀河を選択しその環境について調べたところ、ちょうど銀河団の外辺部に存在していることがわかった。これは銀河団の影響を受けて渦巻銀河の星生成が止まって、Passive Spiral銀河が生成されることを示唆しており、Passive Spiral銀河は青い銀河から赤い銀河、渦巻き銀河からSO銀河へと進化する、銀河進化の渦中にある銀河と考えることができる。 Post-starburst(E+A)銀河:Balmar吸収線の非常に強い銀河は、寿命の短いO, B型星が死んだ後、A型星が支配的になるとき形成される。このような銀河はstarburst活動が急に止まった後1 Gyr内に限って現れるため、Post-starburst銀河と考えることができる。これらの銀河は遠方銀河団において発見されていたが、Post-starburst銀河がstarburstを始めた理由、また止めた理由ともに不明のままであった。本研究では、過去最大の140個のPost-starburst銀河のカタログを作成し、これらの銀河の環境を調べたところ、field銀河と同様の分布を示すことがわかった。これはPost-starburst銀河の起源が銀河団にあるとする説と相反しており、興味深い。またこれらの銀河の形態を調べたところ、主に楕円銀河の形態をしていることがわかった。これはmajor mergerがPost-starburst銀河の起源であると言う説と矛盾している。Post-starburst銀河が実は星生成活動を行っているが、dust吸収によりそれが隠されているという説も有力であったが、本研究の可視-赤外の色分布では、dust量の超過は見られない。つまり、従来有力であったPost-starburst銀河の起源についての3つの説はことごとく本研究の観測結果と一致しない。残された説のうち本研究の結果と矛盾しない、銀河風説、minor merger説のどちらかにPost-starburst銀河の起源があると推察される。
|
Research Products
(4 results)
-
[Publications] Goto, T., Sekiguchi, M., NIchol, R.C., Bahcall, N., Kim, R.S.J., et al.: "The Cut & Enhance method : selecting clusters of galaxies from the SDSS commissioning data"THE ASTRONOMICAL JOURNAL. 123. 1807-1825 (2002)
-
[Publications] Goto, T., Okamura, S., Mckay, T.A., Annis, J., Bahcall, N.A.et al.: "Composite Luminosity Functions of the Sloan Digital Sky Survey Cut & Enhance Galaxy Cluster Catalog"Publ.Astron.Soc.Japan (2002). 54. 515-525 (2002)
-
[Publications] Gomez, P., Nichol, R.C., Miller, C., Balogh, M., Goto, T.et al.: "Galaxy Star-Formation as a Function of Environment in the Early Data Release of the Sloan Digital Sky Survey"The Astrophysical Journal. (掲載予定). (2003)
-
[Publications] Bahcall, N.A., Dong, F., Bode, P., Kim, R., Annis, J., McKay, T.A., Hansen, S., Gunn, J., Ostriker, J.P., Postman, M., Nichol, R.C., Goto T., et al.: "The Cluster Mass Function from Early SDSS Data : Cosmological Implications"The Astrophysical Journal. (掲載予定). (2003)