2003 Fiscal Year Annual Research Report
Project/Area Number |
01J06242
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Research Institution | The University of Tokyo |
Principal Investigator |
小宮 健 東京大学, 大学院・理学系研究科, 特別研究員(DC1)
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Keywords | DNA分子 / 自律的 / ヘアピン構造 / 有向ハミルトン経路問題 / 状態遷移機械 / リアルタイムPCR / 形態変化 / プログラム |
Research Abstract |
・「演算」の大規模化,ネットワーク化に向けて 本研究では,一分子の一本鎖DNAが分子内で自律的に相補配列を探索し,ヘアピン構造を形成する反応を利用して「状態遷移機械」を実装する.DNAポリメラーゼを用いた段階的な伸長にもとづいて,DNA分子が多段階の形態変化を行うことが必要な基本反応について,昨年度に行った予備的な「効率・精度」の評価を受け,反応温度や使用するDNAポリメラーゼなどの条件を改善し,再現性よく高効率で反応を行うことができるようになった. この結果について,リアルタイムPCR法を用いた定量的解析を行い,多段階の連続状態遷移が各段階平均70%以上の効率で進行することを明らかにした.この値は,1回の連続状態遷移反応あたり数十段階の演算ステップを実行することが期待できることを意味しており,より大規模な問題に対する解法の実現可能性が示唆された. さらなる大規模化や,それぞれが演算装置としてはたらくDNA分子間で通信を可能にする手法に関して,入出力の反応条件を変えてリアルタイムPCR法による定量的解析を行った結果からは,分子間でのハイブリダイゼーションにもとづく相補鎖伸長を利用する方法は,ヘアピン構造の形成と競合するため起こりにくいことがわかった.また,NP完全問題である「有向ハミルトン経路問題」の小規模な例題について,昨年度に行った解法実験で解を得ることに成功したが,改善した反応条件下で再度解法を行い,正確度の評価を開始した.各DNA分子が独立した演算装置として連続状態遷移を行い,一つの反応容器中で「プログラム」の並列処理が実行できることを確認した.以上の研究成果を,第26回日本分子生物学会年会(神戸)において報告した.
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Research Products
(1 results)