2003 Fiscal Year Annual Research Report
Project/Area Number |
01J06295
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Research Institution | The University of Tokyo |
Principal Investigator |
間瀬 圭一 東京大学, 大学院・理学系研究科, 特別研究員(DC1)
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Keywords | 最高エネルギー宇宙線 / 高エネルギーガンマ線 / ミューオン |
Research Abstract |
現在までに明野に設置されているAGASAにより、10^<20>eVを超える非常にエネルギーの高い宇宙線が10数例観測されている。このような非常にエネルギーの高い粒子が生成される機構は依然謎に包まれており、様々なモデルが乱立するのが現状である。このモデルとしては、コズミックストリングの崩壊や、活動銀河核やγ線バースト中での加速などが考えられている。この起源を明らかにすることが私の研究の最大の目的である。 このためにAGASA検出器により得られた最高エネルギー宇宙線の到来方向をもう少しエネルギーの低い10^<10>eV(100GeV)領域に感度のある望遠鏡で調べることで、この起源に迫る。本年度は上記の目的のために、ドイツに渡航し、TeV領域に感度のあるMAGIC実験に関わった。 MAGIC望遠鏡はその口径が17mと大きいので、単一ミューオンからのチェレンコフ光でさえも数多くトリガーする。このため、このミューオンがMAGICの重大なバックグラウンドになると考えられていた。そこで、私はシミュレーションを用い、この影響を調べた。その結果、この単一ミューオンのトリガーレートは50Hz程度であり、MAGICの観測に支障が無いことが分かった。またむしろ、ミューオンからのチェレンコフ光が入っているほど、シグナルたるガンマ線とバックグラウンドたるハドロンシャワーの識別能力が上がることが分かった。この結果は2003年の宇宙線国際会議にて発表された。 現在シグナルたるガンマ線からのシャワーとバックグラウンドたるハドロンシャワーの識別にはイメージング技術と呼ばれる、そのシャワーイメージの違いを利用した識別方法が用いられている。この方法はガンマ線とハドロンのイメージの大まかな違いの情報を引き出すのには優れているが、夜光からのバックグラウンドに弱く、しばしば間違う。私は新たにシャワーイメージのかたまり(島)を利用して、夜光バックグラウンドの影響を最小化し、シャワーの再構築能力を上げる島解析を行い、MAGIC望遠鏡の感度を20%程度上げることに成功した。 現在はMAGIC望遠鏡の較正をミューオンを用いて行っている。まだ準備的ながら、他のLEDを用いた較正から求まるコンバージョンファクターとエラーの範囲で一致することが確かめられた。
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Research Products
(3 results)
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[Publications] T.Yamamoto et al.: "Signatures of ultra-high energy cosmic ray composition from propagation of nuclei in intergalactic photon fields"Astroparticle Physics. 20. 405-412 (2004)
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[Publications] D.Paneque et al.: "A method to enhance the sensitivity of photomultipliers for air Cherenkov telescopes"NIM. 504. 109-115 (2003)
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[Publications] C.Baixeras et al.: "Commissioning and first tests of the MAGIC telescope"NIM. 518. 188-192 (2004)