2002 Fiscal Year Annual Research Report
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01J06333
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Research Institution | The University of Tokyo |
Principal Investigator |
国武 貞克 東京大学, 大学院・人文社会系研究科, 日本学術振興会特別研究員(DC1)
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Keywords | 移動領域 / 石材消費 / 石器石材 / 行動論的研究 / 石材産地 / 珪質頁岩 / 回廊領域仮説 / 古民族誌的叙述 |
Research Abstract |
当該年度は、先に提出した研究計画にのっとり、昨年度にひきつづき、各地の分析対象資料を集収し、それらによる行動論研究のための分析を行った。当該年度の特筆すべき成果としては、まず、考古学資料から領域分析を行うための経験則の一般化を具体的な事例に基いて提示した点が挙げられる。(国武貞克「旧石器時代の領域分析-特定共時における戦略束-」東京大学考古学研究室研究紀要17号2002年5月)もう1点は、具体的な資料の分析を行う上での解釈の枠組みを構造化し得た点が挙げられる。この点を具体的に述べると、研究代表者、関東地方に遺跡を残した旧石器時代の先史人類の行動領域を、石器に用いる石材の利用傾向から分析しているが、主要な石器石材である珪質頁岩は従来の研究では産地が不明とされていたが、この産地をつきとめることに成功した。これにより、従来「移動領域」が、漠然としか認識されていなかったが、この成果に基づき、特定の石材産地を往還しながら遺跡が残される『回廊領域仮説』を提唱するに到った。(田村隆・国武貞克・吉野真如「下野-北総回廊北緑部の石器石材」千葉県史料研究11号.2003年3月)この枠組みにより、研究の目的である領域分析のみならず、往時の古民族誌的な叙述が可能になると思われる。
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Research Products
(2 results)