2003 Fiscal Year Annual Research Report
Project/Area Number |
01J06337
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Research Institution | The University of Tokyo |
Principal Investigator |
菅沼 睦 東京大学, 大学院・人文社会系研究科, 特別研究員(DC1)
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Keywords | 視覚的注意 / オブジェクトベースの注意 / オブジェクト性 / 同オブジェクト効果 |
Research Abstract |
三次元空間におけるオブジェクトベースの注意,および,三次元的なオブジェクト性(objecthood)に関する検討を行った. 三次元的に提示されたオブジェクトにおけるオブジェクトベースの注意について,Atchley & Kramer(2001)はEgly, Driver, & Rafal(1994)の実験課題を三次元的な刺激に応用し,三次元空間においてもオブジェクトベースの注意が存在し同オブジェクト効果(SOE)が観測されることを報告した.彼らの実験では3時限的なオブジェクトとして一つの奥行き面に含まれる(そのオブジェクト自体は平面的)形状の刺激を用いていた.本研究では,オブジェクトそのものが奥行きの変化を持ち,一つの平面に集約されない形状を有した刺激を用いて検討した.この際,オブジェクトの奥行き変化が段階的(階段状の形状),連続的(S字曲線状)の刺激を作成した. 実験の結果,段階的な奥行き変化を持つオブジェクトにおいてはSOEが観測されなかった.このことは,階段状の奥行き変化を持つ刺激は,認知処理において一つのオブジェクトとして扱われなかったことを示唆する.段階的な奥行き変化を持つそれぞれの部分(板状部)が平面を形成していたため,それぞれの面が一つ一つのオブジェクトとして機能した可能性がある.一方,連続的な奥行き変化を付与した刺激においては,SOEが観測された.このことから,三次元的な構造を持つオブジェクトでは,奥行きの変化によって定義される部分が存在する場合,全体としてオブジェクト処理を受けるのではなく,それぞれの部分ごとにオブジェクト処理を受けていることが示唆された.
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Research Products
(2 results)
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[Publications] 菅沼睦, 横澤一彦: "視覚的注意とオブジェクト性"心理学評論. 46(3). 527-542 (2003)
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[Publications] Mutsumi Suganuma, Kazuhiko Yokosawa: "Items in MOT are easily lost when they chase each other"Journal of Vision. 3(9). 584 (2003)