2002 Fiscal Year Annual Research Report
Project/Area Number |
01J06337
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Research Institution | The University of Tokyo |
Principal Investigator |
菅沼 睦 東京大学, 大学院・人文社会系研究科, 特別研究員(DC1)
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Keywords | 視覚的注意 / 奥行き / MOT / 曲線追跡 |
Research Abstract |
1.3次元的曲線追跡に関しての新たな検討を行った.二つの標的を同じ奥行きに提示し,標的どうしを結ぶ線分に奥行き変化を与えた条件と線分に奥行き変化がない条件との比較を行った.ランダムドットステレオグラムによる刺激提示を行うことで,両眼情報の融合がなされていることの裏付けとした.実験の結果,両条件間の反応時間に有意な差が認められた.奥行き変化条件と,不変条件の出現比率が同等の場合は,奥行き変化のある条件において反応時間の増加がみられた.奥行き変化によるコストが標的相互の奥行きの違いによってではなく,線分の追跡に起因していたということが示唆された.一方,奥行き変化条件の出現比率を高めた実験では,奥行き変化条件での反応時間が減少した.これは,より奥行き情報を利用しやすい環境下では,複数の線分刺激の中から追跡対象となる線分を奥行き情報を基に切り分けていたことを示唆する.これらの結果から,奥行き変化を伴う曲線追跡においては,奥行き情報に基づく対象の切り分けと,奥行き情報を加味した対象自体の追跡という二つのプロセスが関与していることが示唆された. 2.3次元空間におけるオブジェクト性の検討として,MOT課題を用いた実験を行った.本研究では,奥行き情報に依存したオブジェクト性の確立が可能であるかどうかという点に着目し,視覚系での奥行き情報の利用に関する検討を行った.MOT課題において視覚的な線分によって標的どうしを連結することにより課題遂行が著しく困難になるオブジェクト連結技法を3次元的に運動する標的刺激に応用した.実験の結果,奥行き方法によって,オブジェクト連結の効果が軽減することが確認された.これは,視覚処理において,奥行き情報に依存したオブジェクト性の確保がなされていることを示唆する.
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Research Products
(1 results)